2024年2月26日(月)

BBC News

2024年2月5日

アメリカ国防総省とイギリス国防省は3日夜、イエメンの武装組織フーシ派の拠点を空爆したと発表した。米英のフーシ派に対する共同作戦は、1月11日と22日に次いで3回目となる。

イランの支援を受けるフーシ派は、この攻撃に報復すると誓っている。

アメリカ軍は2日にも、ヨルダンの米軍基地攻撃への報復として、シリアとイラン領内にあるイラン関連の標的を攻撃しており、中東地域の不安定化への懸念が高まっている。

作戦に参加したアメリカをはじめ各国の共同声明によると、フーシ派の「深く埋められた武器貯蔵施設、ミサイル・システムと発射装置、防空システム、レーダー」に関連する施設を対象とし、13地点で合わせて38カ所の標的を攻撃した。

また、攻撃はアメリカとイギリスが共同で行い、オーストラリア、バーレーン、カナダ、デンマーク、オランダ、ニュージーランドが支援したという。

「これらの精密攻撃は、フーシ派が世界貿易と罪のない船員の生命を脅かすために使用している能力を混乱させ、低下させることを意図しており、一連の違法で危険な、情勢を不安定化させるフーシ派の行動に対応するものだ」と、声明は説明した。

米国防総省で中東を担当する米中央軍(CENTCOM)はその後、「フーシ派の対艦巡航ミサイルに対し、自衛のための攻撃を行った」と発表。このミサイルは「紅海の船舶に対して発射準備」されており、「この地域の米海軍艦艇と商船に差し迫った脅威になっている判断した」という。

イギリスの国防省は、英空軍の戦闘機「タイフーン」が、ペイヴウェイ爆弾でイエメン領内の標的3カ所を攻撃したと発表。標的は「慎重なインテリジェンス分析によって特定」されたもので、イエメン西岸の「ドローン(無人機)地上管制施設」2カ所を含むという。

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イランの支援を受けるフーシ派は、イスラエルを敵視している。

パレスチナ自治区ガザ地区での戦争に呼応して、イスラエルに向けて無人機やミサイルを発射し始めたほか、紅海でイスラエルの所有、船籍、運航の船舶、あるいはイスラエルの港に向かう船舶を狙っているという。しかし、攻撃された船舶の多くはイスラエルとは何の関係もない。

現在、世界のコンテナ船の15%が紅海を避け、アフリカ南端を回るはるかに長い航路を使っているという。

イランは英米の矛盾を指摘

アメリカのロイド・オースティン国防長官は、「今回の集団行動は、フーシ派が国際海運と海軍艦艇への違法な攻撃をやめなければ、さらなる対応を受け続けるという明確なメッセージを送るものだ」と述べた。

「我々は、世界で最も重要な水路の一つにおける人命と自由な通商の流れを守ることをためらわない」と、長官は強調した。

イギリスのグラント・シャップス国防相は、この攻撃は「エスカレーションではない」と強調。

「罪のない人々の命を守り、航行の自由を守ることは我々の義務だ」と述べ、この作戦は「イエメンのフーシ派の軍事目標に的を絞った適切なもの」だと説明した。

リシ・スーナク英首相も4日、「イギリス空軍は前夜、イエメンにおいてフーシ派の特定の軍事標的を破壊し、これまで以上にフーシ派の能力を低下させた。このところ続くイギリスや国際各国の艦船に対する攻撃は容認できない。罪のない人命を守り、自由を維持することは我々の責務だ」と書いた。

フーシ派の報道官はソーシャルメディアで、米英の攻撃に報復すると宣言した。

投稿では、英米による3回目の攻撃は、パレスチナ人を支援する「道徳的、宗教的、人道的姿勢」を抑止するものではないとしている。

報道官によると、数時間の間に48回の攻撃が行われ、首都サヌアとイエメン各地域が標的となった。死傷者の報告はまだない。

4日の空爆以来、フーシ派による紅海での攻撃はまだ報告されていない。

空爆が行われる前の3日、フーシ派は軍事訓練の様子を写した写真を公開した。

その中には、イギリスやアメリカ、イスラエルの国旗のついた模擬標的を破壊している写真もあった。

こうした中でイラン政府は、英米のイエメンのフーシ派に対する攻撃は、中東紛争を避けたいという両国の主張と矛盾すると指摘した。

イラン外務省のナセル・カナニ報道官は声明の中で、フーシ派へのさらなる攻撃は「国際平和と安全への脅威」であると警告。「この地域における戦争と紛争の拡大を望まないという英米政府の度重なる主張とは明らかに矛盾している」と述べた。

また、アメリカとイギリスはイスラエルを支援することによって、この地域の「混乱、無秩序、不安、不安定」をあおっていると付け加えた。

中東での緊張は高まるのか

アメリカは2日、米兵3人が死亡した先月のヨルダンの米軍基地攻撃への報復として、シリアとイラク領内にあるイラン関連の85以上の標的への攻撃を実施した。

この攻撃は、1月28日にシリアとの国境に近いヨルダン北東部の米軍基地「タワー22」がドローン(無人機)攻撃を受け、米兵3人が殺害され、41人が負傷したことへの報復。

ジョー・バイデン米大統領は、「イランの支援を受ける過激派武装グループ」の攻撃だとし、「報復する」と宣言。「アメリカが選ぶ時期と方法で、すべての責任者に責任を取らせる」としていた。

シリアとイラク、そしてヨルダンと、アメリカは24時間に中東の3カ国で軍事活動を行った。中東では、アメリカが不安定な状況をさらに悪化させる危険性があるとの批判も出ている。

しかし、BBCのオーラ・ゲリン中東特派員は、アメリカがこれ以上のエスカレーションを望んでいないことは明らかだと指摘。イラン政府からも、怒りの言葉はあるものの、態度も変わっていないと報じた。

イラクでもでも怒りの声が上がっており、政府はアメリカが不安定をあおっていると非難している。一方で、イランが支援する武装組織からの対応はなく、慎重に待機している様子だという。

アメリカはアントニー・ブリンケン国務長官の外交使節団に多くを託しており、その長官はなんとしてもガザでの停戦を実現させようとしているのだと、ゲリン特派員は指摘する。

ブリンケン国務長官は5日、中東訪問を開始する。イスラエルとハマスの戦争が始まって以来、長官の中東歴訪は5回目となる

また、国連安全保障理事会は5日午後、アメリカのイラクとシリアでの攻撃に関する会合を開く予定。これは、アメリカが世界の平和と安全を脅かしているとするロシアからの要請によるもの。

(英語記事 The UK and US launched a third round of joint strikes on 36 Houthi targets)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cnknl3yzeq7o


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