2024年2月26日(月)

BBC News

2024年2月8日

クレムリン(ロシア大統領府)は7日、米FOXニュースの司会者だったタッカー・カールソン氏が、ウラジーミル・プーチン大統領をインタビューしたと発表した。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、カールソン氏による大統領へのインタビューは6日に収録されたと明らかにした。

2022年2月にロシアがウクライナ全面侵攻を開始して以来、プーチン氏が一対一で西側ジャーナリストのインタビューに応じるのは初めて。

カールソン氏は、西側メディアがプーチン氏の言い分を聞こうとしないからだと主張しているが、BBCのロシア編集長をはじめ複数の西側メディア関係者は、大統領に取材を申し込んでもクレムリンが応じないのだと反論している。

ロシア国営メディアは、カールソン氏のロシア訪問を精力的に報道。国内での行動を逐一伝えている。

カールソン氏は大統領を取材すると発表した動画で、「こういうインタビューにはリスクが伴うので、もちろん、私たちは数カ月前からそのことを検討してきた」と述べた。

カールソン氏は、ロシア訪問の費用は自前だとしたうえで、「世界の形を変えている」紛争について「ほとんどのアメリカ人はきちんと知らされていない」と主張。それは主流メディアのせいだとして、そのため自分はプーチン氏を取材することにしたのだと話した。

ウクライナでの戦争が始まって以来、西側ジャーナリストはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を何度も取材してきたと、カールソン氏は指摘。同氏はかねてゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼んでいた。

 

しかしゼレンスキー大統領のインタビューはいずれも、相手に「こびへつらい応援するやりとり」に終始し、アメリカの戦争協力拡大を目的としていたと、カールソン氏は主張。「そんなのはジャーナリズムじゃない、政府のプロパガンダだ」と力説した。

加えて、「西側のジャーナリストは一人たりとも(プーチン氏を)あえてインタビューしようとはしてこなかった」とも、カールソン氏は主張した。

これに対してBBCのロシア編集長、スティーヴ・ローゼンバーグ記者は、「ウクライナ侵攻以来、『西側ジャーナリストは誰も、わざわざ(プーチンを)インタビューしようとしてこなかった』という、タッカー・カールソン氏の主張は興味深い。私たちはこの18カ月間、クレムリンにたびたび取材を申し込んできた。しかし私たちへの回答は常に『ノー』だった」と書いた。

英紙フィナンシャル・タイムズのマックス・セドン・モスクワ支局長は、「プーチンのウクライナ侵攻についてロシア側を取材するアメリカ人記者が足りないなどと、文句を言うとは、なかなかのものだ。まさにそうして取材していたアメリカの記者2人が、エヴァン・ガーシュコヴィッチとアルス・クルマシェヴァが、まさにそのためたった今も刑務所にいるのに」と批判した(訳注:太文字は原文では* *で強調)。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのガーシュコヴィッチ記者と、「ラジオ・フリー・ヨーロッパ」のクルマシェヴァ記者は昨年以来、公判を前に勾留され続けている。

ロシア人ジャーナリストのエフゲニア・アルバツ氏は、自分や何百人もの同僚はウクライナでの戦争について報道し続けるため、亡命せざるを得なかったが、カールソン氏は「1000ドルするモスクワのリッツのスイートルームで撮影している」と指摘した。

ロシアではウクライナ侵攻について厳しい報道管制が敷かれている。現地メディアは「戦争」と呼ぶことを禁止され、「特別軍事作戦」という呼び方が続いている。

ウクライナのハンナ・マリャル元国防次官は、「この状況で安全なインタビューは、オランダ・ハーグでの尋問のみだ」とコメントした。

ハーグの国際刑事裁判所(ICC)は昨年3月、プーチン氏に対して、ウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑と、占領地域からウクライナの子供たちをロシアへ不法移送した容疑で、逮捕状を出している。マリャル氏の発言は、これを踏まえたもの。

カールソン氏、以前からプーチン氏を擁護

ウクライナ全面侵攻が始まって以来、カールソン氏は声高にプーチン大統領を擁護し続けてきた。

ロシアによる侵攻が始まる直前には、「プーチン憎しがアメリカ外交の中心的な目標になっている」と主張し、なぜそうなのか自問自答するよう視聴者に呼び掛けた。

「プーチンが私を人種差別主義者と呼んだことがあるか? 自分と意見が違うからと、くびにすると脅したことがあるか?」とカールソン氏は当時、主張していた。

「聞いて当然の質問で、答えはいずれもノーだ。ウラジーミル・プーチンは私に、そんなまねはしていない」

ロシアの侵攻が始まると、カールソン氏は別の番組で論調を多少修正し、「この戦争を始めたのはウラジーミル・プーチンだ(中略)私たちが今晩目にしているウクライナでの出来事は、彼のせいだ」と述べていた。

カールソン氏は、プーチン大統領のインタビューは無編集でX(旧ツイッター)に投稿するとしている。Xオーナーのイーロン・マスク氏は、カールソン氏の投稿を拡散すると共に、内容を注視する姿勢を示している。

カールソン氏はFOX司会者として、米ケーブルテレビでは有数の視聴者数を得ていた。2016年から2023年にかけて、ゴールデンアワーの政治トークショーでの発言内容は往々にして、アメリカの保守層に大きな影響を与え、ひいては共和党にも影響を与えていた。

昨年4月に唐突にFOXを降板してからは、自主製作番組の動画をXに投稿していた。

(英語記事 Tucker Carlson interviews Russia's Putin - Kremlin

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cd193n2wdzxo


新着記事

»もっと見る