2024年7月24日(水)

BBC News

2024年7月8日

ホリー・ホンデリッチ、BBCニュース(米ワシントン)

アメリカで11月に行われる大統領選での再選を目指すジョー・バイデン大統領は7日、激戦州ペンシルヴェニアで選挙イベントに出席した。候補者としての適性への懸念が身内の民主党議員らから上がる中、選挙戦での勢いを取り戻すことを狙った。

バイデン氏をめぐっては、6月27日に行われたドナルド・トランプ前大統領との討論会で精彩を欠いたことから、選挙戦で戦う上での身体的・認知機能的な能力に深刻な疑問が浮上している。

今月5日のゴールデンタイムに放送された米ABCのインタビューでは、選挙戦から撤退するよう自分を説得できるのは「全能の主」だけだと述べ、今後についてさらに多くの見方を招いた。

こうした不安感が漂う中、バイデン氏は7日、重要な激戦州であるペンシルヴェニア州で二つの選挙イベントに出席した。

しかしこうした取り組みも、現在81歳のバイデン氏を民主党の次期大統領候補にし続けるリスクと利益をてんびんにかける同党議員らの動きを、止めるには至っていない。

民主党のハキーム・ジェフリーズ下院院内総務は7日午後、同党の下院議員の幹部らとの会合を開いた。バイデン氏の党候補者指名についても話し合われたとされる。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、この会合の出席者のうち4人は、バイデン氏は選挙戦から撤退すべきだとの考えを述べたという。複数情報筋は、少なくともほかの3人が、11月の本選でバイデン氏が勝利する可能性について不安を示したとしている。

先週末のテレビインタビューでは、何人かの民主党幹部らが、「バイデン氏の出馬にこだわるのと、バイデン氏を見限るのとでは、どちらがリスクが大きいか」という疑問に答えようと、各自の立場を表明した。

バイデン氏が選挙戦にとどまれば、トランプ前大統領に敗れる可能性があるとする人がいる一方で、バイデン氏をほかの人に置き換えたら、未知の事態が多数発生すると指摘する人もいる。

「一からやり直し」に可能性を見出す人も

テレビ討論会での、バイデン氏の惨憺(さんたん)たる様子を受けて、選挙戦から退くよう求める声が上がっている。確かにそうすれば、すぐにでも、いくらか安堵(あんど)感を得られるかもしれない。

バイデン氏支持を公言する人を含め、一部の民主党議員らはそう言っている。バイデン氏の年齢や鋭敏さに関する懸念が、乗り越えるのが難しいほどにまで大きくなっていると、彼らは示唆している。

アダム・シフ下院議員(カリフォルニア州)は7日、先日の討論会は「バイデン大統領にドナルド・トランプを打ち負かすだけの力があるのかという、もっともな疑問を米国民に抱かせた」と述べた。

これまでのところ、民主党の5人の下院議員が、バイデン氏は撤退すべきだとの見解を公にしている。しかしシフ氏は、この日の米NBCのインタビューで、そこまで踏み込むことはしなかった。

その代わりにシフ氏は、バイデン氏に対し、「自身と距離があり、客観性をもった」人々に助言を求めるよう要望。そして、自身が最良の候補者だと信じられるのか判断するよう求めた。

「ジョー・バイデンの素晴らしい実績と、ドナルド・トランプのひどい記録を考えれば、彼(バイデン氏)はドナルド・トランプをたたきのめすはずだ」と、シフ氏は述べた。「接戦にすらならないはずだ。接戦になる理由はただ一つ、それは大統領の年齢だ」。

バイデン大統領は現在81歳で、トランプ前大統領は78歳になったばかりだ。両候補の年齢は、有権者の間でますます議論の的になっている。

複数の世論調査では、一部の有権者がバイデン氏への信頼を失いつつあることが示されている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが5日に発表した世論調査では、バイデン氏を支持すると答えたのは民主党員の86%で、今年2月の93%から下がった。

別の候補者を立てれば、ほかの部分に関しても白紙に戻せるかもしれない。民主党内でパニックが起きる以前、バイデン氏は米経済への対応や、南部国境の移民問題など、いくつかの政策について有権者から批判を浴びていた。

イスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘をめぐっては、戦闘に反対する進歩派の有権者による離反の危機に直面した。彼らの反発により、2月の予備選では重要な激戦州ミシガンで、10万票以上を失った。

バイデン氏が候補者のままなら「ほかの人々の足を引っ張ることになる」と、ティム・ライアン元下院議員(オハイオ州)は7日、米フォックス・ニュースのインタビューで語った。「今日だろうが明日だろうが、今週中だろうが、いずれ耐えられないという議員が出てきて、かなりの圧力を受けることになると思う」。

あまりにも大きな「未知のリスク」があるとの声も

一部の民主党指導者によると、バイデン氏を失うことのメリットは、迫りくるリスクによって弱められる可能性がある。

バイデン氏が離脱した場合、次に何が待ち受けているのか。そのほとんどは今も見えていない。後任は誰になるのか? どうやって交代するのか? そしてその新たな候補者はどうやってトランプ前大統領に立ち向かうのか?

そしてここ数日では、バイデン氏の盟友の何人かが、バイデン氏は実績のある成功者だと主張。新たな路線を描けば、そこには落とし穴があると強調している。

「バイデン氏は年を取っている」と、バーニー・サンダース上院議員(78、ヴァーモント州)は7日、米CBSニュースに語った。「かつてのように明瞭ではない。エアフォース・ワンの階段を飛びあがれたらいいのにと思う。でも彼には無理だ。我々が注目しなければならないのは政策だ。誰の政策が、この国の大多数の人にとって有益か、そして有益なものになるのかを考えなければならない」。

先週末にバイデン氏のための選挙活動に参加したカリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は6日、ペンシルヴェニア州ドイルスタウンで開かれた集会で、同様のことを述べた。

「この候補者を推進するうえで、仮定の話が邪魔をしている」と、ニューサム氏は述べた。「これはまさに、あちらの党の思うつぼだ。内輪もめを期待している。そうなることは全く助けにならないと思う」。

バイデン氏支持の一般市民は、民主党候補を変更することそのものが、トランプ前大統領率いる共和党への利益になるかもしれないと指摘している。対立候補が党内での混乱に巻き込まれていると、共和党側は主張できるようになるのだと。

「もうこの話はやめよう」と、デビー・ディンゲル下院議員(ミシガン州)は7日、米CNNで語った。「我々は(この話題に)丸1週間を費やしている。共和党は素晴らしい時間を過ごしている。私が言いたいのは、我々はドナルド・トランプと彼のパフォーマンスに関する話題に戻る必要があるということだ」。

ハリス副大統領は?

ティム・ライアン下院議員(オハイオ州)は先に、バイデン氏の後任候補になり得るのはカマラ・ハリス副大統領だと述べた。

「我々が進むべき最善の道は、カマラ・ハリスだと、私は強く信じている」と、米誌ニューズウィークに寄稿した。「ハリスを候補者にすることは、先日(討論会で)目撃し、これからも目にすることになるジョー・バイデンよりもリスクが大きいと言っている人は、現実を生きていない」。

バイデン氏への忠実な支持しか示してこなかった59歳のハリス氏が、バイデン氏の代わりを務めるという考えは、ここ数日で勢いを増している。

シフ下院議員は7日朝のインタビューで、ハリス副大統領がトランプ前大統領に「圧倒的に」勝利する可能性はあると述べた。

副大統領として、そして2020年米大統領選でバイデン氏と共闘してきたハリス氏は、すでに選挙戦には慣れていて、民主党の体制や資金調達者たちに精通していると、支持者たちは述べている。

ドナ・ブラジル元民主党全国委員長は7日、米ABCに対し、ハリス氏は「仕事を理解している」と語った。「バイデンとハリスを支持する代議員たちに、カマラ・ハリスを回避するよう求めるのは、政治的な不正行為だ」。

しかし、カマラ氏が支持者の目に魅力的に映っている理由は、同時に落とし穴にもなり得る。有権者がバイデン氏に対して抱いている不満は年齢のことだけではない。そして、政治的選択をめぐり現政権が抱える負担が、ハリス氏にまでおよぶ可能性もある。

(英語記事 Democrats weigh risks and rewards of losing Biden

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4ng845pedwo


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