2024年7月18日(木)

BBC News

2024年7月10日

アメリカの司法省は9日、ロシアから実行されている人工知能(AI)を活用した情報工作に対して措置を講じたと述べた。これには、アメリカ人を装った約1000件のソーシャルメディア・アカウントが絡んでいたという。

X(旧ツイッター)上のこれらのアカウントは、親ロシア的なニュースを広めるために作られたが、プログラムが自動投稿する「ボット」であり、実在の人間ではなかった。

米司法省は、9日に公開された裁判文書のなかで、この作戦はロシア大統領府(クレムリン)が所有するニュースメディア「RT」(旧ロシア・トゥデイ)の副編集長が考案したと指摘した。

RTは、英語を含む数カ国語でテレビチャンネルを運営しているが、最近ではソーシャルメディアで人気があるという。

米司法省は、ボットアカウントに関連する電子メールを発行するために使用されていたウェブサイト2件を押収。また、Xに対し、捜査当局がボットであったとするアカウント968件関連する情報を提出するよう命じた。

裁判文書によると、アカウントの作成にはAIが使われ、ウクライナ戦争を中心に、親ロシア的な話題を広めたという。

米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官は、「本日の行動は、ロシアがスポンサーとなり、AIを活用したソーシャルメディア上のボットファーム(農場)を破壊した初めての例だ」と述べた。

「ロシアはこのボットファームを利用し、AIが生成した外国の偽情報を流布したほか、我々のウクライナの友人を弱体化させ、ロシア政府に有利な地政学的なストーリーに影響を与えるために、AIの助けを借りて工作を拡大しようとしていた」

こうしたアカウントは現在、Xによって削除されたようだ。FBI捜査官が公表したスクリーンショットによると、フォロワーはほとんどいなかった。

裁判文書には、記事を配信する新しい方法を探していたRT副編集長が、いわゆる「ボットファーム」を発案したことが詳細に記されている。RTのアメリカ支局は、2022年のロシアのウクライナ侵攻の直後、アメリカの大手ケーブルテレビ数社がサービスを停止したため、閉鎖されている。

また、RTの別の従業員がこのネットワークを開発し、後にロシアの諜報部員がこの活動に加わったという。

RTのアンナ・ヴェルキナ副編集長は、電子メールでBBCに対し、「私は自分のダーチャ(農場)の手入れをするのが何よりも幸せだ。主にトマトとイチゴを作っているが、残念ながら、ロシア保安庁(FSB)の助けは受けていない」と語った。

この件に関して起訴は公表されていないが、米司法省は捜査は継続中だと述べている。

偽情報の拡散に対抗する非営利団体「アメリカン・サンライト・プロジェクト」のニーナ・ジャンコヴィッチ代表は、ロシアに関連した活動が、偽アカウントを作成するためにAIに頼っていることは驚くべきことではないと述べた。

「以前であれば、これは工作の中でも時間のかかる部類に入るものだったが、今では、この作戦を支援する技術によってはるかにスムーズになった」とジャンコヴィッチ氏は述べたうえで、この工作は、拡大する前に阻止されたようだと指摘した。

「AIは今や明らかに偽情報の武器の一部だ」

BBCはXとロシア外務省にコメントを求めている。

BBCの最近の調査では、AIによって書き換えられた記事で構成される偽ニュースサイトを利用して、ロシアを拠点とする偽情報ネットワークを強化しようとする別の試みの詳細が明らかになった。

(英語記事 US officials uncover alleged Russian ‘bot farm’

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx027zx5v1go


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