2024年12月7日(土)

モノ語り。

2024年8月3日

 「エリアマネジメント」というものを、ご存じでしょうか? まちづくりを行政任せにするのではなく、地域住民や事業主も積極的に関わっていく取り組みのことです。

 私が運営するブックカフェ「Hama House」がある日本橋浜町には「一般社団法人日本橋浜町エリアマネジメント」があり、私たちも事業者として参加しています。その成果として、マルシェの定例開催や、隅田川に架かる新大橋のたもとに「関東大震災避難記念碑」が長年放置されていたのを皆で掃除し、防災の重要性を再認識する取り組みもしています。この取り組みを通じて、大の仲良しになったのが「濱甼髙虎」の髙橋由布さんです。

奥から2枚目が小紋柄の「日本橋」 上写真は、季節の手ぬぐい「打ち上げ花火」(写真・鈴木優太 以下同)

 「もともと、呉服問屋に勤めていた祖父が戦後に独立したのが始まりです。呉服問屋として着物の反物を扱っていましたが、父の代になって、半纏、暖簾、手ぬぐい、袋物などを手がけるようになり、今では、トートバッグやTシャツもつくっています」

 取材中、「手ぬぐいがほしい」という男性が来店してきました。私は思わず、「どうして買いに来たんですか?」と聞いてしまいました。男性は焼肉店で働いているそうで「タオルだと暑いから、手ぬぐいにしようと思って」とのことでした。そうなんです。手ぬぐいは、軽くて、吸水性が良くてすぐ乾き、コンパクトで持ち歩きも収納も非常に重宝する一品なのです。

 「例えば、ちょっと前までは、妊娠5カ月を迎える戌の日には、サラシの腹帯を巻いて安産祈願をするという風習がありました。子どもが生まれるとおしめに使い、その後は雑巾にして、最後には裂いてハタキにしていました。今は、ほとんどの人が紙オムツですし、こうしたことは生活の中から少しずつ消えていってます」


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