2024年8月31日(土)

BBC News

2024年8月31日

ウクライナ北東部ハルキウが30日、ロシアの誘導爆弾に攻撃され、12階建ての集合住宅やその周辺が直撃された。地元当局によると、屋外の遊び場にいた14歳の女の子を含む少なくとも7人が死亡し、子供9人を含む59人が負傷した。

現場の映像や写真には、建物の上層部から炎や黒煙が上がる様子や、消防当局が住民を安全な場所へ誘導する様子が映っている。建物の外壁の一部が崩れ、屋外の複数の車両が燃えている様子も見える。

ハルキウ州の行政トップ、オレフ・シネフボウ知事はソーシャルメディア「テレグラム」で、子供9人を含む少なくとも59人が攻撃で負傷し、このうち20人が重体だと明らかにした。手足などの切断手術を必要とする恐れのある人たちもいるという。

ハルキウはウクライナ第二の都市で、ロシアとの国境から約35キロの位置にある。ロシアが2022年2月にウクライナ全面侵攻を開始して以来、繰り返し攻撃を受けてきた。

シネフボウ知事は、攻撃は国境の反対側に位置するロシアのベルゴロド州からのものだと言明。「(ミサイルには)誘導装置がついていたと、はっきり言う。そこから得られる結論はひとつだ」と書いた。

攻撃された場所については「通りはすべて、市民が大勢集まる公園だ。集合住宅もある。これはまたしても、民間人に対する大規模なテロ攻撃だ」と知事は非難した。

ゼレンスキー氏、ロシア国内への攻撃力要求

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアが「普通の」市民を標的にしたと述べ、「基地で待機するロシア軍機を、その状態で破壊できる能力」がウクライナにあれば、今回のような攻撃は防げたと主張。

大統領はウクライナに協力する各国にあらためて、今回のような攻撃を防ぐためにも、ロシア国内の標的を対象にした攻撃を認めるよう呼びかけ、「これはまったく正当な必要性だ。ウクライナの防衛を制限する、合理的な理由はなにもない」と主張した。

「長距離攻撃の能力や、合意した防空体制の全面運用が必要だ。命を救うための措置だ」とゼレンスキー氏は強調した。

大統領によると、ロシアはこの1週間でウクライナに向けて400以上のドローンやミサイルを発射している。

ウクライナを支援する西側諸国は、自分たちが提供する兵器を使ってウクライナがロシア領内を攻撃することを、戦争激化につながる懸念から、部分的に制限している。

イギリス政府は、提供する装備を使ったロシア国内攻撃の大部分を容認しているものの、長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」は除外している。

アメリカ政府は今年5月、ウクライナがロシア領内の標的を攻撃することを認めたものの、ハルキウ州の近くにその範囲を限定し、「(ウクライナを)攻撃している、もしくは攻撃の準備をしているロシア軍に反撃する場合のみ」に状況を制限した。

30日のハルキウ攻撃を受けて、アメリカの駐ウクライナ大使ブリジット・ブリンク氏は、「救助活動が続くなか、私たちはハルキウの人たちのことを思っている」としたうえで、「ロシアには、この戦争犯罪の責任をとらせなくてはならない」と述べた。

8月下旬には複数の消息筋がBBCに、ウクライナが自国産ドローンを使ってロシア領内への長距離攻撃を実施するにあたり、西側の技術と資金がこれを支援しているのだと明らかにした。ウクライナが標的にしているのは、ロシアの空軍基地や貯油施設、武器庫、司令拠点などだという。

他方、ロシア当局はウクライナによるベルゴロド州攻撃で5人が死亡し、民間人37人が負傷したと明らかにした。現地のヴャチェスラフ・グラドコフ知事は、ウクライナ軍が「クラスター砲弾」を使用したと述べている。

空軍トップ解任

ゼレンスキー大統領は30日、ハルキウ攻撃の少し前に、空軍トップのミコラ・オレシチュク司令官を解任した。

解任理由は説明していないが、大統領は30日夜のビデオ演説で「真にウクライナのために戦う全員に、大いに感謝する」としたうえで、「私たちは国民、人員、すべての兵士を強化しなくてはならない。これは司令部トップについても同様だ」と強調した。

29日には西側がウクライナに提供した戦闘機F16が墜落し、操縦士のオレクシイ・メス中佐が死亡したことが明らかになっている。

(英語記事 Girl, 14, killed as Russian strike hits Kharkiv playground / Zelensky sacks Ukraine air force commander Oleshchuk

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx2ndmnrj3no


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