ヌール・ナンジ文化記者、ジャクリーン・ハワード(BBCニュース)
英ウェストミンスター治安裁判所は16日、未成年のわいせつ画像を作成した罪で起訴されていたBBCの元有名キャスター、ヒュー・エドワーズ被告(62)に対し、禁錮6カ月(執行猶予2年)の有罪判決を言い渡した。
裁判では、エドワーズ被告と、同被告にわいせつな画像を送った男とのやりとりが明らかにされた。男から「若い」人物の「いやらしい」画像があるというメッセージを受け取ったエドワーズ被告は、「頼む」と返信していた。この男は性犯罪で有罪となっている。
判事は、エドワーズ被告がテレビ司会者として「長い間獲得してきた評判」が「ぼろぼろになった」と述べた。
BBCの広報担当者は、エドワーズ被告の犯罪に 「愕然(がくぜん)」としているとコメント。「彼はBBCだけでなく、彼に信頼を寄せていた視聴者も裏切った」と述べた
キア・スターマー英首相は判決を受け、この事件に「ショックを受けている」と述べた。
エドワーズ被告は今後7年間、性犯罪者として登録される。また、性犯罪者の治療プログラムに参加するよう命じられた。
同被告は7月末、未成年のわいせつ画像を作成した罪3件で起訴され、ワッツアップで送られてきた画像41枚を所持していたことを認めていた。
法律上、「画像」には写真や動画も含まれる。また、法的な意味での「わいせつ画像の作成」には、そうした画像をワッツアップで開くことも含まれている。
ポール・ゴールドスプリング判事は、エドワーズ被告が申し立てた、一般的な意味での「画像作成」は行っていないという主張を認めた上で、同被告の行為は法的な意味での画像作成に当たると指摘した。
エドワーズ被告にこれらの画像を送った男は、アレックス・ウィリアムズ元被告(25)だと公表されている。
ウィリアムズ元被告は2018年、インスタグラムを通じてエドワーズ被告に初めて接触した。ウィリアムズ元被告は今年3月、未成年のわいせつ画像の流通と所持で、執行猶予付きで禁錮12カ月の有罪判決を受けている。エドワーズ被告の関与が明らかになったのは、その捜査の最中だったという。
エドワーズ被告は、2020年12月から2021年8月の間に画像を受け取っていた。ほとんどの画像は成人男性のものだったが、子供の画像も相当数あった。377枚の画像のうち、41枚はわいせつ画像、つまり未成年だった。
わいせつ画像の分類では最も深刻な「A」分類のほとんどが13~15歳の子どもの画像で、被害者の1人は7~9歳だった。
また、分類「B」の画像を12枚、分類「C」の画像を22枚、所持していた。これらの画像にも、12~15歳の子供が写っていた。
裁判では、ウィリアムズ元被告に「年齢が14歳から16歳の間だと判明している」人物の性的な画像が欲しいかと尋ねられたエドワーズ被告が、「イエス」と答え、その後にキスを意味する「xxx」を送ったやりとりも明らかになった。
エドワーズ被告はその後、ウィリアムズ元被告に「すばらしい」と返信していた。
また、多くの画像につながるリンクを送られた後、エドワーズ被告はウィリアムズ元被告にクリスマスプレゼントを買いたいと話していた。
その2カ月後、さらに別のやりとりがあった後、エドワーズ被告はウィリアムズ元被告に「未成年のものは送らないでくれ」と言ったが、これが最後のやりとりではなかったという。
裁判中、エドワーズ被告は前傾姿勢で座り、両手を口の前で組み、ひじを太ももに置いていた。
判事は、エドワーズ被告がウィリアムズ元被告から受け取った画像を使い、それ以上のことをした証拠はないと述べた。
また、エドワーズ被告は画像の代金を直接支払ったわけではなかったが、ウィリアムズ元被告が画像を送った後に贈り物を要求するつもりだったのは明白で、エドワーズ被告は実際に金銭を送っていると指摘。検察は、その額は約1000~1500ポンド(18万5000~27万8000円)だと推計している。
さらに、エドワーズ被告はウィリアムズ元被告に未成年者の画像を送らないように言ったが、それは後のことだったと判事は言い、「送らないように抗議したにもかかわらず、それでも画像が送られてきたというケースではない」と付け加えた。
一方で、エドワーズ被告の反省は本物で、犯行時の意思決定はメンタルヘルス(心の健康)上の問題によって損なわれていた可能性があると述べた。
その上で、エドワーズ被告が一般市民や子供たちに危険をもたらすことはなく、また証拠から更生可能だと示されたため、直ちに禁錮刑にする必要はないと述べた。
判事は、最も深刻な虐待画像に対しては禁錮12カ月が適切だが、軽減と早期の有罪答弁を考慮し、禁錮6カ月と2年の執行猶予になるだろうと述べた。
判事はまた、こうした犯罪が被害者に与える影響を強調するために、判決前の報告書から一部を読み上げた。
この報告書では、児童虐待画像の流通がいかに「虐待の連鎖を永続させ」、被害者に継続的なトラウマを与え、生涯にわたって影響を与え、さらなる性的虐待を受けやすくする可能性があるかが指摘されている。
エドワーズ被告は昨年まで、BBC Oneチャンネルの夜の「10時のニュース」でメイン司会者の一人だった。故エリザベス女王の訃報など、国家の重大事の報道を担当することも多かった。
BBCで最も高い報酬を得ていたジャーナリストで、2023年4月~2024年4月には47万5000~47万9999ポンド(約8800万~8900万円)を受け取っていた。
BBCは先に、エドワーズ被告に対し、昨年11月の逮捕から今年4月の辞職までの報酬20万ポンドを返還するよう求めている。
BBCのティム・デイヴィー会長は先に、英上院の委員会に出席した際、エドワーズ被告から報酬を取り戻す可能性について「話し合いが行われている」と語った。
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また、日本の内閣府が、性犯罪・性暴力相談の相談先をこちらで紹介しています。