アメリカで最も影響力のある労働組合の一つ、「国際チームスターズ同胞団」は18日、11月の大統領選挙で特定候補を支持しないとの方針を発表した。こうした決定は1996年以来。
チームスターズは、トラック運転手、倉庫労働者、航空会社パイロットなどでなる労組の連合体。アメリカとカナダで約130万人の組合員を擁する。
同労組はこの日の発表で、民主党のカマラ・ハリス候補からも共和党のドナルド・トランプ候補からも、「チームスターズの課題へのコミットメントをほとんど」得られなかったとした。
また、一般組合員を対象とした調査では、どちらの候補についても「決定的な支持はできない」との結果が出たと説明した。ただし、最近の2回の調査では、トランプ候補への支持が多かった。
今回の決定は、投票日まで50日を切った大統領選で労働者層の取り込みを狙うハリス陣営にとって、大きな打撃となる。
仮に支持が得られれば、重要激戦州のペンシルヴェニア、ミシガン、ウィスコンシンの各州の何千人もの組合員を味方につける可能性があった。
発表からまもなく、ミシガン、ウィスコンシン、ネヴァダ、カリフォルニアの各州のチームスターズの地域組織は、ハリス候補への支持を表明した。それら地域組織の組合員数は50万人を超える。
ハリス陣営は声明を出し、「組合労働者の圧倒的多数」から支持を得たとアピール。多くのチームスターズ地域組合員が後押ししてくれているとした。
共和党と距離を縮める
チームスターズは長年、政治的に多様とみられてきた。
2022年にショーン・オブライエン会長がトップの座に就くと、共和党との関係を強化。ジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州)や、J・D・ヴァンス上院議員(オハイオ州)など、同党のポピュリスト色の強い人物と接触してきた。ヴァンス氏は同党の副大統領候補となっている。
今年1月には、オブライエン氏がトランプ候補の私邸マール・ア・ラーゴで、同候補と個人的に面会。その直後、トランプ候補は首都ワシントンのチームスターズ本部で、理事らとの懇談会に出席した。会合後、トランプ候補は、同労組の支持を得る可能性は「十分にある」と述べた。
ただ、同労組の理事会は、再選を目指したジョー・バイデン大統領とも、大統領選からの離脱前に会合をもっていた。また、民主・共和両党以外の候補らとも会っていた。
同労組は2月、民主党と共和党のそれぞれの全国大会に、限度額の4万5000ドル(約640万円)を寄付。近年は共和党に献金していなかったため、民主党を憂慮させた。共和党の全国大会では、同労組トップとしては初めて、オブライエン氏が演説した。
一方、民主党の先月の全国大会には、オブライエン氏は招かれなかった。同党は一般組合員らを招待し、ステージで発言の機会を与えた。
ハリス候補は16日、長らく延期されていたチームスターズ理事会との懇談に1時間半にわたって出席した。
米紙ニューヨーク・タイムズは、この会合について「時に緊迫した」ものだったと報じた。一方、チームスターズの広報担当は、この報道は正確ではないとBBCの取材に述べた。
同紙によると、ハリス候補は労組理事らに、「私は勝つ自信がある。皆さんの支持が欲しいが、もしもらえなくても、もらったのと同じように皆さんに接する」と話したという。
会合後、オブライエン氏は記者団に対し、ハリス氏とバイデン氏が述べたことに「大した違いはなかった」と述べた。
(英語記事 Major US labour union declines to endorse either Harris or Trump)