スイスで女性が「自殺ポッド」を使って自死したとされる事案があり、警察は24日、複数の人物を逮捕した。こうした機器を使った自死は初めとみられる。
シャフハウゼン州の警察によると、女性は23日に「サルコ」という会社が作ったポッド型の機器を使用して死亡したとされる。これを受け警察は、自死を勧め、幇助(ほうじょ)した疑いで「複数の人物」を逮捕したという。
スイスでは、死亡幇助は状況によっては法的に保護されている。だが、厳しい規制があり、サルコの機器には反対の声が上がっている。
警察は現場でこの機器と遺体を回収した。
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この機器を開発した会社は、医師の監督なしに自分の人生を終わらせたい人だけが操作できると説明している。
警察によると、この機器は23日、ドイツとの国境に位置する、人口の少ないメリシャウゼン地区の森の中の小屋で使用された。
ある法律事務所から警察に、この機器を使った自死について情報提供があったという。逮捕者の人数や身元は明らかにされていない。また、死者の名前も明かされていない。
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幇助自死を支持し、サルコの機器を推進している団体は7月、この機器が今年、初めて使用されると予想していると述べていた。
擁護派は、薬物や医師に頼らない選択肢を提供するものだとしている。また、3Dプリントして自宅で組み立てることができることから、自ら死を選ぶ人々の選択肢を広げるものだと述べている。
しかし、死亡幇助について世界で最も保護的な法律があるスイスでも、反対運動が起きている。
機器の現代的なデザインが自死を美化しているとの懸念が出ているほか、医師の監視なしに操作できる点も問題視されている。
「幇助自死(Assisted dying)」は定義に議論があるが、一般的には死に至る病や、耐えられない痛みや障害のある人々が、医療従事者から処方された薬を服用し、自ら命を絶つことを指す。医療従事者が患者に薬を投与する安楽死とは区別される。
イギリスをはじめほとんどの欧州諸国では、幇助自死は違法だが、長年、何千人もの人々が、自らの命を絶つためにスイスを訪れている。