2024年10月11日(金)

BBC News

2024年9月25日

タイの国王ラーマ10世(ワチラロンコン国王)は24日、結婚平等法案に署名した。これによってタイは、東南アジアで初めて同性婚を認める国となった。

同性婚を認める法案は6月にタイ議会を通過したが、法制化には国王の承認が必要だった。新法は24日に王室官報に掲載された。来年1月22日に施行される。

結婚の平等を求めていた活動家たちは、この動きは歴史的なものであり、長年の運動の集大成だと歓迎した。

タイは、東南アジアでは珍しく、性的マイノリティー(LGBTQ)カップルに比較的、寛容な国として知られている。

新法では、「夫」、「妻」、「男性」、「女性」の代わりにジェンダーに中立的な用語を使用している。また、同性カップルに養子縁組と相続の権利を認める。

長年の活動家であり、LGBTの誇りを掲げるバンコク・プライド運動の共同創設者であるアン・チュマポーン氏はBBCに、「今日、私たちは結婚証明書に名前を書くことができるようになっただけでなく、歴史の1ページを書くことになった。(中略)私たちが生まれながらにして誰であるかについて、愛が決して条件を付けなかったことを教えてくれる」と語った。

「これは平等と人間の尊厳の勝利だ」

アン・チュマポーン氏は新法が施行される来年1月22日に、1000組以上のLGBTQ+カップルのための集団結婚式を開催する予定だと語った。

「(法的承認は)私たちが完全に受け入れられ、条件や妥協なしに生活できることを意味する」と広告戦略家のクワンカオ・クーサクルニルンド氏は語った。

「タイのLGBTQ+コミュニティーは、この法律がもたらす誇りを胸に、単なる恋愛関係を超えた未来に目を向けることができる」

「私たちはみな喜び、興奮している。自分たちの権利のために10年以上、闘ってきたが、ついにそれが実現した」と、別の活動家シリタタ・ニンラプルック氏はAFP通信に語った。

8月に就任したばかりのペートンタン・シナワット首相はX(旧ツイッター)に、「みんなの愛におめでとう」と投稿した。

この法案を強く支持していたセター・タウィーシン前首相もタイにとっての「大きな一歩」だと、成立を歓迎。「タイ社会で公平と平等が堅固なものになった。ジェンダーの多様性はいずれ完全に受け入れられるだろう。おめでとうございます」とソーシャルメディアに書いた。

この法律が施行されれば、タイは台湾とネパールに次ぎアジアで3番目に同性カップルが結婚できる国になる。

台湾の立法院は2019年、アジアで初めて同性婚を合法化した。ネパールでは、最高裁が同性婚を支持する判決を出してから5カ月後の昨年11月に、初の同性婚を登録した。

一方、インドでは昨年10月、最高裁判所が同性婚の合法化を認めない判決を出し、最終的な決定は政府に委ねるとした。政府は、同性カップルの法的権利の拡大について決定する委員会を設置するとしている。

シンガポールは2022年、同性愛行為を犯罪とする植民地時代の刑法の条項を廃止した。一方で憲法を改正し、男女間の婚姻という定義に裁判所が異議を唱えることができないようにした。

日本でも、LGBTQコミュニティーの人々が結婚の平等のために闘っている。今年3月には札幌高等裁判所が、同性婚を認めない民法などの規定は「法の下の平等」を保障した憲法14条や、婚姻について定めた24条に違反しているとの判断を示した。

日本では世論調査でも多くの人が同性婚に賛成しているが、与党・自由民主党内の伝統的な旧勢力からの厳しい反対が、法制化を妨げている。

(英語記事 Thai king signs same-sex marriage bill into law

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c3617yk35lno


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