2024年10月6日(日)

BBC News

2024年9月27日

オーストラリアで議論を呼んでいる女性専用の美術館展示が、差別禁止法に違反するという一審判決がこれを覆す判断を示した。このため、展示が間もなく再開される可能性が出てきた。

タスマニア州にある美術館「ミュージアム・オブ・オールド・アンド・ニュー・アート(MONA)」は2020年、男性の入場を禁止する「レディース・ラウンジ」を設置。男性の入館を禁止することで、歴史的なミソジニー(女性嫌悪)を浮き彫りにしようとしていた。

しかし、入場を断られた男性客の一人が、この展示は差別禁止法に違反しているとしてMONAを提訴。一審の裁判所は今年4月、美術館の主張を不当とし、男性の入場を認めるよう命じた。MONAはこれを受け、「レディース・ラウンジ」の一般公開が停止するとともに、控訴していた。

控訴を扱うタスマニア州最高裁のシェーン・マーシャル判事は27日、疎外されている集団に対する「機会均等」を促進するのであれば差別は許されるとして、「レディース・ラウンジ」から男性を排除することは可能だとの判断を示した。

「(レディース・ラウンジは)女性たちに、不利な立場ではない、有利な立場がどのようなものなのかを垣間見る貴重な機会を与えている」と、マーシャル判事は述べた。

作品として「レディース・ラウンジ」を制作したアーティストのキルシャ・カシェラ氏は、この判決は「大きな勝利」だと話した。

声明の中でカシェラ氏は、「判決文の読み上げに30秒かかった。家父長制を打ち砕くための30秒だった」と述べた。

「きょうの判決は、女性は男性よりも優れているというシンプルな真実を示している」

MONAは長年にわたり、挑発的な展示で知られている。レディース・ラウンジもその一つで、豪華で華やかな内装の部屋に、MONAで最も高く評価されている作品のいくつかが展示されている。

オーストラリアでは1965年まで、パブの主な部分で女性が飲食することがほぼ排除されていた。カシェラ氏は、同国の女性が何十年もの間、排除され続けてきたことを強調するためにレディース・ラウンジを作ったと、カシェラ氏は説明している。

カシェラ氏はこの展示を「反転した宇宙」と表現し、「男が支配する、奇妙でばらばらな世界からリセット」するために必要なものだとしている。

(英語記事 Judge says controversial women-only art exhibit is legal

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c5y351j41ljo


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