2024年12月5日(木)

BBC News

2024年11月29日

バルト海で海底通信ケーブル2本が損傷した問題で、中国船が関係している可能性が浮上しており、スウェーデンが中国に対し、捜査への協力を正式に要請した。スウェーデンのウルフ・クリステルソン首相が28日、明らかにした。

ケーブルは今月17日と18日、バルト海のスウェーデン領海で損傷した。1本はスウェーデンとリトアニアを結び、もう1本はフィンランドとドイツを結ぶものだった。

船舶追跡サイトのデータからは、それぞれのケーブルが切断されたのとほぼ同じ時刻に、中国船「伊鵬3」がケーブルの上を航行していたことがうかがえる。

同船はその後、デンマーク沖の国際水域で停泊している。

中国は妨害行為への関与を否定している。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、伊鵬3がケーブルを故意に損傷させたと、捜査員らはみている。いかりを海底に下ろし、160キロメートル以上引きずった疑いがあるという。

デンマーク海軍が監視

伊鵬3は今月15日、ロシアのサンクトペテルブルク西方のウスチ・ルーガ港を出港。19日からは、カテガット海峡(バルト海と北海を結ぶスウェーデンとデンマーク間の航路)で停泊しており、デンマーク海軍が監視している。

スウェーデンのクリステルソン首相は28日の記者会見で、「何が起きたのかはっきりさせるため、中国に対し、スウェーデン当局への協力を正式に要請した」と説明。

「何が起きたのか正確に解明するのは、極めて重要だと考えている。もちろん、私たちが送付した要請に中国が応じることを期待している」とした。

首相はまた、捜査の一環として船内を捜索するため、伊鵬3がスウェーデン領海に戻るよう、すでに要請済みだと強調。同時に、自分は決してだれかを責めているわけではないと付け加えた。

ロシアが2022年2月にウクライナを本格侵攻して以降、バルト海でも緊張が高まり、海底インフラが損壊される事案も相次いでいる。

2022年9月には、西ヨーロッパとロシアを結ぶガスパイプライン「ノルド・ストリーム」で爆発があり、パイプ2本に穴が開いた。2023年10月には、エストニアとスウェーデンの間の海底通信ケーブルが損傷した。

ドイツのボリス・ピストリウス国防相は先週、今回の問題をめぐり、「これらのケーブルが誤って切断されたとは誰も考えていない」と発言。ただ、誰の仕業とみているのかは明らかにしなかった。

ロシアは、自分たちの関与を疑う意見について、「ばかばかしい」、「笑うしかない」などとして退けている。

(英語記事 Sweden asks China to co-operate over severed cables

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c7742epx78ko


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