イギリスのルイーズ・ヘイグ運輸相は29日、辞任を表明した。2013年に業務用携帯電話が盗まれたと警察に虚偽の報告をし、有罪となっていたことが前日に明らかになっていた。
キア・スターマー首相宛ての書簡でヘイグ氏は、「我々の政治プロジェクトに完全に専念している」と述べたが、「政府の外からあなたを支援することが最善の策だ」と付け加えた。
スターマー内閣にとっては初の閣僚辞任となった。ヘイグ氏は28日、以前に強盗に遭って携帯電話をなくしたと警察に話したが、その後、携帯電話が盗まれていなかったことが判明したと認めていた。
ヘイグ氏はこれについて「本当に純粋なミス」だったと述べたが、当時、弁護士から警察の事情聴取で「何も話さないように」助言されていたという。警察はこの事件を検察庁に送付した。
同氏は、2015年の総選挙で議員になる6カ月前、治安判事裁判所で警察に虚偽の報告をした罪を認め、「最も軽い処分」である「免責(discharge)」を受けたという。
免責とは、裁判所が被告を有罪と認めるものの、犯罪が非常に軽微とみなされるため、刑を科さない有罪判決を指す。
英官公庁ホワイトホールの関係者によると、ヘイグ氏は野党時代の労働党で影の閣僚に任命された際に、この処分を公表していた。
スターマー首相は、政府の交通政策の実現に向けたヘイグ氏の功績に感謝を述べた。
ヘイグ氏は書簡の中で、この問題が「必然的に妨害になる」という「事実を、何であれ」認めていると述べた。
一方で、女性閣僚として「史上最年少」で任命されたことは「私の人生で最も誇らしい功績のひとつ」だと語った。
また、「このような状況で辞任するのは残念だが、私たちが成し遂げたことを誇りに思う」と述べ、選挙区であるシェフィールドの有権者のために今後も活動を続けると付け加えた。
ヘイグ氏は2015年以降、シェフィールド・ヒーリー選挙区の下院議員を務め、労働党が今年7月の総選挙で勝利を収める前は、影の閣僚職をいくつか歴任していた。
「純粋なミス」
英紙タイムズと民放スカイニュースは28日、ヘイグ氏が2014年に罪を認めていたと報じた。
これを受けてヘイ氏は声明を発表し、「2013年、私は夜に外出中、強盗にあった。私は若い女性で、その経験は恐ろしいものだった」と説明。以下のように述べた。
「警察に通報し、盗まれたと思われる物のリストを提出した。その中には、雇用主から支給された業務用携帯電話も含まれていた」
「しばらくして、その携帯電話が実際には盗まれていなかったことが判明した。その間に、私は別の業務用携帯電話を支給されていた」
「元の業務用携帯電話の電源が入れられたことが警察の注意を引き、私は事情聴取のために呼び出された」
「私は弁護士の助言に従い、その聴取で発言を控えたが、この助言に従ったことを後悔している」
「警察はこの件を検察庁に送り、私は治安判事裁判所に出廷した」
ヘイグ氏は、弁護士の助言に従って、「何の利益も得ていない純粋なミスにもかかわらず」、有罪を認めたと付け加えた。
野党・保守党の広報担当は、「ルイーズ・ヘイグは辞任という正しいことをした。 彼女が国会議員に期待される水準の振る舞いをしなかったことは明らかだ」と述べた。
(英語記事 Louise Haigh quits as transport secretary over phone offence)