2024年12月12日(木)

BBC News

2024年12月11日

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアによる全面侵攻が始まって以来、約4万3000人のウクライナ兵が死亡したと述べた。同大統領が犠牲者数の実態について認めたのはまれ。

ゼレンスキー大統領はソーシャルメディアへの8日の投稿で、37万件の負傷事案が報告されていると述べた。この数字には同じ兵士による複数回の負傷も含まれており、一部は軽傷とされている。

また、ロシア側では19万8000人の兵士が死亡し、さらに55万人が負傷したと主張した。

BBCは、いずれの側の数字も検証・確認できていない。

ウクライナとロシアは共に、相手側の損失の推定値を定期的に公表しているが、自国の損失については詳細を明らかにすることを避けている。

今回発表された犠牲者数は、年初からウクライナの死者数が大幅に増加したことを示している。

ゼレンスキー大統領がウクライナの犠牲者数について最後に発表を行ったのは2月で、その時点では死者数を3万1000人としていた。

ゼレンスキー氏の今回の発表は、ドナルド・トランプ次期米大統領がソーシャルメディアに、ウクライナが「ばかげたことに」40万人の兵士を失い、ロシア側では約60万人が死亡または負傷したと書き込んだことがきっかけと考えられている。トランプ次期大統領は、これらの数字の出所を明らかにしていない。

次期大統領は、以前から戦争を終わらせたいという意向を明確にしており、あまりにも多くの命が「無駄に浪費された」と述べた。

一方、ロシアの損失に関するゼレンスキー大統領の推定は、西側諸国の高官が提供した数字と類似している。ロシアは死傷者合わせて約80万人の損失を被ったと推定されている。

英国防省によると、ロシアは11月だけで4万5680人の死傷者を出している。これは、2022年2月の全面侵攻開始以来、1カ月の人数としては最も多い。

また、最新のイギリス国防情報の推定によれば、毎日平均1523人のロシア兵が死亡または負傷しているという。11月28日には、1日で2000人以上の兵士を失ったとされており、こうした事態は初めてだという。

ロシアはこれらの数字に異議を唱えている。大統領府は声明で、ウクライナの損失はロシアのそれを「はるかに上回る」と主張している。

ロシア国外では、ロシアの死傷者数はウクライナより大幅に多いという見解が一般的であり、「肉ひき機」戦術がその理由とされている。新兵を次々とウクライナの陣地に投入し、ウクライナ兵の消耗を狙う戦い方だ。

戦争の最近の展開が、死者数をさらに増加させている。

ロシア軍はウクライナ東部の前線に沿って徐々に前進を続けており、年初からウクライナ東部およびロシア西部のクルスク州で約2350平方キロメートルの領土を奪取・奪還している。

ウクライナ軍は、8月の奇襲攻撃でクルスク州に侵入した際に占領した少しばかりのロシア領土を、依然として保持している。

ロシア国防省は、クルスク州だけで3万8000人以上のウクライナ兵が死亡または負傷したと発表しているが、この数字は検証・確認できていない。

ロシアは2014年にクリミア半島を併合した。その8年後にウクライナへの全面侵攻を開始し、同国の南部と東部を占領している。

ゼレンスキー大統領は今回、戦争の終結の見通しについての広範な内容の投稿をし、その中でウクライナの戦死者について言及した。

これは、7日にパリで行われたエマニュエル・マクロン仏大統領とトランプ次期米大統領との3者会談を受けたもの。トランプ氏は、アメリカがウクライナに対して過剰な支援をしていると考えるアメリカ人の約4分の1の意見を利用しようとしているとみられる。

大統領選中、トランプ氏はロシアとウクライナの戦争を「1日で」終わらせることができると繰り返し述べていたが、その具体的な方法については明らかにしていない。

ゼレンスキー大統領は投稿の中で、いかなる和平合意も自国の安全保障に対する効果的な国際的保証に支えられる必要があると強調した。

また、マクロン大統領とトランプ次期大統領に対し、ウクライナにはロシアが「数年でぶち壊す」ことができないような「長続きする平和」が必要だと伝えたと述べた。

トランプ次期大統領の即時停戦の呼びかけに対し、ロシアは交渉に応じる用意があると述べている。ただ、敵対行為の停止条件はウラジーミル・プーチン大統領が6月に設定したととおりだとしている。

プーチン氏はウクライナに対し、さらに多くの領土を譲り、北大西洋条約機構(NATO)加盟をあきらめるよう要求している。ウクライナはこれをはねつけている。

(英語記事 43,000 troops killed in war with Russia, Zelensky says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c5y8270wl0wo


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