2025年2月14日(金)

BBC News

2025年1月20日

韓国で19日、ソウルの裁判所が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(64)の逮捕状を出し、捜査当局が尹氏を逮捕した。現地メディアなどが報じた。尹氏は先月、非常戒厳を敷こうとして失敗し国会によって弾劾された。今月15日に内乱容疑で捜査当局に身柄を拘束されており、今回の逮捕で拘束期間が延長された。これを受け、尹氏の支持者らの一部が裁判所に乱入し、警察に拘束された。

裁判官は職務停止中の尹氏について、釈放されれば証拠を隠滅する恐れがあると判断。19日午前3時ごろ、逮捕状を発行した。

これにより、捜査当局は尹氏の拘束期間を最大20日間に延長できる。この日までの拘束日数4日間は算入される。

拘束延長が決まると、尹氏の支持者らは裁判所に押し入った。その際、窓やドアを壊したとされる。

尹氏は、捜査に当たる高位公職者犯罪捜査庁(CIO)の取り調べに応じていないという。

弾劾については、憲法裁判所が妥当性を審理している。妥当と判断されれば罷免され、妥当ではないとされれば大統領職に復帰する。

尹氏の弁護士の尹甲根(ユン・ガプグン)氏は拘束が延長された後、大統領はCIOによる取り調べを拒否するだろうと、聯合ニュースに話した。

大統領支持者ら裁判所に乱入

尹大統領の支持者らは、裁判所が逮捕状を発行するかどうか審査している間、庁舎前に集まっていた。逮捕状が出されて拘束の延長が決まると、大勢が建物の中に乱入した。

その場にいた報道陣は、支持者ら数十人が警察に拘束されるのを見たと伝えた。

大統領代行の崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相は、裁判所での暴力行為をめぐり、「強い遺憾の意」を表明。「民主主義社会では想像できない」ことだとし、尹氏の今後の出廷では警備を強化するとした。

現地メディアが大統領の弁護士の話として伝えたところ、裁判所で騒動が起きたとき、尹大統領は法廷にいて「ショックを受けていた」という。また、大統領は支持者らに平和的な意見表明を呼びかけたという。

深まる国民の分断

尹氏の支持者らは、大統領への法的措置を阻止しようと、さまざまな動きを見せている。

尹氏が拘束された今月15日は、前夜から大統領公邸前に何百人もの支持者が集まり、大統領の身柄を拘束しようとする警官らともみ合った。

同様の光景は、これに先立つ同3日も見られた。この日は捜査当局が初めて尹氏の拘束を試みたが、大統領の警護チームが公邸への立ち入りを阻止したため断念した。尹氏の支持者らは公邸前に集結し、拘束を食い止めようと、怒りの声を上げた。

韓国では昨年12月3日に尹氏が非常戒厳を宣布し、国民に衝撃を与えて以来、世論が二分されている。尹氏は戒厳宣布について、国会の「反国家勢力」が理由だとし、北朝鮮についても言及した

しかし尹氏のこうした動きについては、昨年4月の総選挙で最大野党「共に民主党」が大勝したことによる政治的な行き詰まりや、妻をめぐるスキャンダルを受けて尹氏の支持率が下がったことへの、極端な反応との見方もある。

ソウルの街頭などでは、非常戒厳の発布から何週間にもわたり、数千人が尹氏を非難するデモを繰り広げてきた。

(英語記事 South Korean impeached president's detention extended

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/ceq9j47yjrqo


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