2025年2月11日(火)

BBC News

2025年1月22日

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(64)は21日、憲法裁判所での自身の弾劾裁判に初めて出廷した。尹氏は、昨年12月に「非常戒厳」の宣布を発表した際、国会議員の逮捕を命じたとの疑いについて、事実ではないと否定した。

国会では昨年12月、尹氏に対する弾劾訴追案が可決され、尹氏は職務停止となった。憲法裁判所は6カ月以内に尹氏を罷免するか、復職させるか決めることになっている。

尹氏はまた、「非常戒厳」の宣布をめぐる内乱容疑で捜査を受けており、先週から捜査当局に身柄を拘束されている。

尹氏が拘置所から憲法裁へ移送される際、警察は周囲に集まった数百人の尹氏支持者が近づかないよう、暴動防止のバリケードを築くなど、厳重な警備を敷いた。

憲法裁の外では、支持者たちが尹氏の即時釈放と復職を求めた。支持者たちはこのところ、ますます感情的、攻撃的になっている。

先週末には、支持者数十人と警察が衝突し、支持者が地裁に押し入る暴力的な事案が発生した。

国会議員の逮捕「命じていない」

尹氏は憲法裁で、「非常戒厳」の宣布を発表した日に、国会が非常厳戒の解除を求める決議案を可決しないよう、議員を「引きずり出す」よう軍司令官に命じたのか問われた。

「いいえ」と、尹氏は答えた。

複数の軍司令官は、昨年12月3日に国会議員たちが非常戒厳を解除するため、フェンスをよじ登って議事堂に入った後、尹氏からそうした命令が下されたと主張していた。

しかし尹氏は21日、「私は民主主義を固く信じて生きてきた人間だ」と法廷で述べた。

「憲法裁判所は憲法を守るために存在するのだから、この事件のあらゆる側面を徹底的に検証してください」と、尹氏は裁判官に訴えた。

2時間近くにおよんだ審理で、尹氏と弁護団は、非常戒厳は実際に執行されることを意図していない、形式的なもの」だったと主張した。

尹氏は非常戒厳の宣布を発表した際、「反国家勢力」や北朝鮮の脅威から国を守るためだとしていた。しかしすぐに、尹氏が抱える内政問題によって駆り立てられたものだったことが明らかになった。

国会側の法律代理人団は、尹氏と弁護団が「大きく矛盾した、不合理で不明瞭な」発言をしていると非難した。

検察側は審理後、「(尹氏側が)今日のような責任逃れを続ければ、弾劾裁判で不利に働き、国民の失望をさらに深めるだけだ」と記者団に述べた。

非常戒厳の宣布を提案したとされる国防省の金容賢(キム・ヨンヒョン)長官は、23日の証人尋問に出席する予定。

憲法裁の裁判官8人のうち少なくとも6人が弾劾を支持すれば、尹氏は罷免される。その場合、政府は60日以内に大統領選挙を実施する。

非常戒厳の宣布が失敗に終わって以降、韓国は政治的混乱に陥っている。冬の厳しい寒さにもかかわらず、数千人の抗議者と尹氏支持者が街頭でそれぞれの主張を続けている。

この危機的状況は韓国経済に打撃を与えている。ウォンは下落し、国際格付け機関は消費者とビジネスへの悪影響を警告している。

追加取材:イ・ホス(ソウル)

(英語記事 South Korea president denies ordering arrest of lawmakers

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c74mnmyne8mo


新着記事

»もっと見る