英タブロイド紙サンを発行するニュース・グループ・ニュースペーパーズ(NGN)は22日、英王室のサセックス公爵ハリー王子の私生活に不法に侵入したとして訴えられた訴訟で、ハリー王子と和解した。同社はハリー王子に「相当な損害賠償」を支払うとともに、ハリー王子に謝罪した。
メディア王ルパート・マードック氏が所有するNGNは、1996年から2011年にかけてサン紙が行った「深刻な侵害」について謝罪、また、同紙の依頼を受けた私立探偵による「違法行為」があったことも認めた。
さらに、ハリー王子の母親・故ダイアナ元妃の私生活に対する「広範囲にわたる報道」と「深刻な侵害行為」により、ハリー王子が受けた苦痛についても謝罪した。
ダイアナ元妃はハリー王子が12歳の時に、パパラッチに追いかけられている最中にパリで交通事故に遭い、死亡した。ハリー王子は、タブロイド紙が母の死に一定の役割を負ったとかねて批判してきた。
NGNはまた、元下院議員のワトソン卿との訴訟についても和解し、ワトソン卿に謝罪した。
ワトソン卿は15年ほど前に起きた電話盗聴スキャンダルの最中、労働党の下院議員としてNGNを調査していた時期に、自身の電話が盗聴されていたと主張していた。
NGNは、ワトソン卿の私生活に侵入したことについて、英紙ニュース・オブ・ザ・ワールドの記者や、同紙の指示を受けた人物による「監視行為」を含めて、ワトソン卿に謝罪した。
今回の和解により、NGNには計1000万ポンド(約19億円)以上の賠償責任が発生したとみられている。
ハリー王子は2023年、タブロイド紙ミラーを発行するミラー・グループ・ニューズペーパーズに対する同様の訴訟でも和解している。