
アメリカのドナルド・トランプ大統領は23日、1963年のジョン・F・ケネディ大統領(当時)暗殺と、1968年のロバート・F・ケネディ元司法長官暗殺、1968年のマーティン・ルーサー・キング牧師暗殺の3事件に関して、政府文書の機密指定を解除するよう命じた。これらは、アメリカ史上最も重大な暗殺事件とされる。
トランプ氏は大統領執務室で、「たくさんの人が長い間、何十年もの間、これ(機密解除)を待っている」と記者団に語り、「すべてが明らかになるだろう」とした。
ケネディ大統領は1963年11月22日、テキサス州ダラスで殺害された。弟のロバート・ケネディ氏は1968年6月5日、カリフォルニア州ロサンゼルスで、大統領選の最中に暗殺された。このわずか2カ月前には、アメリカで最も著名な公民権運動の指導者キング牧師がテネシー州メンフィスで殺害された。
トランプ氏はこの日、これら3件の暗殺事件の文書公開を命じる大統領令に署名。その際に使用したペンを、ロバート・ケネディ氏の息子でJ・F・ケネディ氏のおいである、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏に渡すよう側近に求めた。ケネディ・ジュニア氏はトランプ新政権の保健福祉省の長官候補。
文書が黒塗りで公開、陰謀説も
これらの暗殺事件の捜査に関連する文書の多くは、事件発生後の数年間で公開された。しかし、そのうち数千もの文書、特にケネディ大統領の事件に関するものについては、今も文字が黒塗りされるなど、編集された状態になっている。
J・F・ケネディ氏の事件を調査した連邦政府「ウォーレン委員会」は1964年、ソヴィエト連邦で暮らしたことがあった米国人リー・ハーヴィー・オズワルド容疑者の単独犯行だったと断定した。
同容疑者は逮捕の2日後、ダラス警察本部の地下で殺害された。以来、この事件をめぐっては、政府の工作員やマフィア、極悪非道な人物が関与していたなどとする、さまざまな陰謀説が何十年にもわたって唱えられてきた。
ケネディ・ジュニア氏は長年、父親とおじの暗殺に関する公式見解に疑問を投げかけてきた。
国民の大半もオズワルド容疑者の単独犯行だとは信じていないことが、過去数十年の世論調査によって示されている。
トランプ氏は政権1期目に、J・F・ケネディ氏暗殺事件のすべての文書の機密指定を解除すると誓った。しかし、米中央情報局(CIA)と米連邦捜査局(FBI)から、一部を非公開のままにしておくよう説得され、約束を果たすことはできなかった。トランプ氏は2017年10月26日、部分的な公開を承認した。
今回、トランプ氏が署名した大統領令は、機密指定を継続することは「公益と一致しない」としている。
1992年に議会が可決した法律は、ケネディ大統領暗殺に関する約500万ページにわたる全記録を25年以内に全て公開するよう定めていた。その期限は、トランプ氏が文書の部分公開を承認した、2017年10月26日だった。
トランプ1次政権も、2022年にさらなる文書を公開したバイデン前政権も、全記録の公開は実現できなかった。
暗殺に関する数百万点の文書のうち数千点は今も、全文は公開されていない。
近年、公開された文書からは、CIAがオズワルド容疑者を監視していたことなど、新たな詳細がいくつか明らかになっている。
(英語記事 Trump orders release of JFK and MLK assassination documents)