
米カリフォルニア州ロサンゼルスの北約72キロに位置するキャスティーク湖近くで、新たな山火事「ヒューズ火災」が22日に発生し、ここ数日で急速に拡大している。消防隊が懸命に消火活動を続ける中、当局は23~24日に強風が予想され、「最も懸念される時間」が続くと警告した。
ヒューズ火災は4000ヘクタール以上に広がっており、数万人が避難を余儀なくされている。カリフォルニア州ではすでに、7日から複数の山火事が発生し、歴史上最も破壊的な被害に見舞われている。
同地域では24日かけて強風が予想されており、消防隊はさらなる試練に直面する可能性があると警告している。ヒューズ火災は現在、14%が鎮圧されている。
ロサンゼルス郡では、ヒューズ火災で少なくとも28人が死亡し、多数の地域が破壊されている。
米国立気象局(NWS)は、ロサンゼルス郡とヴェンチュラ郡の大部分に発令中の山火事注意報を、強風が予想されるとして24日朝まで延長した。
NWSは「山火事を引き起こす危険のある気象条件は、24日まで続く。(山火事の)燃料(となる木々)が極度に乾燥し、燃えやすくなっている。23日は最も懸念される時間が続くだろう」とした。
そして、「火災が発生すれば急速に拡大し、制御不能になる可能性がある。特に火災リスクの高い地域にいる人は、計画的に行動してほしい」と呼びかけた。
住宅地や学校に隣接する、キャスティーク湖周辺の急流地帯では巨大な炎と煙が上がり、22日には3万1000人以上が避難した。
地元メディアは、ヒューズ火災が迫る地域の住民が、延焼を防ごうと自宅や庭に水をかけたり、急いで避難したりする様子を報じた。
この地域では時速約20~30マイル(約32~48キロ)の風が吹いている。風は今後さらに強まるとみられ、火災が拡大し、上空からの消火活動も困難になると予想される。
複数の科学者たちは、気候変動の影響で草や低木が乾燥して燃えやすくなり、ロサンゼルスの火災の拡大につながっていると指摘している。
この地域は近年、乾燥した時期と大雨が続く両極端の時期が交互に訪れる、気候の「むち打ち現象」に見舞われている。大雨により生い茂った草木が、その後の雨不足で乾燥し、非常に燃えやすくなるという。
週末には雨予報、水害の懸念も
ロサンゼルス郡のロバート・ルナ保安官によると、地元の刑務所に収監されていた囚人500人近くが避難している。
当局はヒューズ火災について、先に発生したパリセーズ火災やイートン火災とは状況が異なるとしている。パリセーズ火災とイートン火災では、少なくとも28人が死亡し、1万棟以上の家屋や企業が壊滅的被害を受けた。
ヒューズ火災が起きている地域では、今後数日間は乾燥した状態が続くものの、その後は火災を拡大する気象条件は収まるとみられる。
カリフォルニア州南西部では25日午後から27日夜にかけて、広範囲で雨が降る予報。サン・ガブリエル山脈では約4センチの降雨量が見込まれている。
週末は、雷雨により局地的な大雨が発生する可能性もある。標高約1200メートル以上では、数センチの積雪がある可能性がある。
25日から予想される雨で、土砂崩れや洪水、地滑りが発生するのではないかとの不安が広がっている。直近の火災に見舞われた地域は、特に影響を受けやすい状況にある。火災で焼けた地面は、雨水を吸い込みにくくなるためだ。
カリフォルニア州南部でも山火事
カリフォルニア州のさらに南に位置する、サンディエゴやオーシャンサイドの近くでも22日、2件の山火事が発生した。約34ヘクタールを焼いたライラック火災はその後、完全に鎮火されたとの発表があった。もう1件の火災は約1.6ヘクタールに広がった。いずれも人口密集地で発生したが、避難命令はほとんど解除された。
エンジェルス国有林の広報担当デイナ・ディアクス氏は、今月相次いで発生した火災について、風と、乾燥した低木の茂みの影響で、消火活動がさらに困難になっているとした。
「カリフォルニアには山火事が起きやすい季節というものはない。1年中、山火事が起きやすいので」と、同氏は述べた。「以前にも、1月に山火事が発生したことがあるが、今回はサンタ・アナの風(と呼ばれる乾燥した風)によって状況が悪化した。この風は、このような乾燥した時期に(山火事を発生させる)大きな要因になっている」。
(英語記事 Firefighters battle huge blaze near Los Angeles as winds pick up)