2025年2月11日(火)

BBC News

2025年1月25日

米国務省が24日、既存の対外支援事業をほぼすべて停止し、新規支援も一時停止するよう、政府関係者や世界各地の米大使館に指示したことが明らかになった。流出した同省の通達内容を、BBCは確認した。

この通達は、ドナルド・トランプ大統領が20日に、対外開発援助の効率性と外交政策との一貫性評価を行うため、90日間の援助停止を命じる大統領令に署名したことを受けてのもの。

米政府のデータによると、世界最大の国際援助国であるアメリカは、2023年に680億ドルを拠出している。今回の通達は、開発援助から軍事援助まで、あらゆるものに影響するとみられる。

食料援助と、イスラエルとエジプトへの軍事援助は停止されない。

「新たな資金援助や、既存の資金援助の延長への資金については、提案された新たな資金援助や(既存援助の)延長が検討・承認されるまでは、拠出する義務はない」と、通達には書かれている。

また、米政府関係者は「検討を経て、国務長官が決定を下すまでの間、関連する援助の条件に従って、業務停止命令を直ちに出さなければならない」としている。

さらに、対外援助がドナルド・トランプ大統領の外交政策目標に沿ったものかどうかを確認するため、85日以内にすべての対外援助の広範な見直しを完了するよう命じている。

米外交トップの国務長官に就任したマルコ・ルビオ氏は以前、対外支援がアメリカを「より強く」、「より安全に」、「より繁栄」させる場合にのみ、アメリカは対外支援に拠出すべきだと述べていた。

米拠出の人道支援などに影響と専門家

国務省の元高官ジョシュ・ポール氏は、今回の通達は、アメリカが拠出する対外支援プログラムに「潜在的に大きな」影響を与えると、BBCに語った。

「(影響として)想像がつくのは、例えば、世界中の人道的な地雷除去プログラムが突然、活動停止を指示されるというもの。これはかなり大きな問題だ」と、ポール氏は述べた。同氏は2023年後半まで、アメリカの武器移転を監督する 国務省政治軍事局の責任者を務めていた。

米国際開発庁(USAID)中東ミッション・ディレクターのデイヴ・ハーデン氏は、BBCに対し、国務省の通達は「非常に重大な」動きだと指摘。(対外支援の)検討が行われる間、アメリカが拠出する世界中の人道支援・開発プログラムが即座に停止される可能性があるとした。

水や衛生管理、シェルターといった重要な開発プロジェクトに幅広く影響を与える可能性があると、ハーデン氏は述べた。

「(現地で活動する)パートナーや(NGO)従業員には給与は支払われるだろうが、支援自体は停止する必要が出てくると思う」

ハーデン氏は、「私が(パレスチナの)ヨルダン川西岸地区とガザ地区のミッション・ディレクターだったころ、何度も(支援の停止を)経験したが、それはその場所に限定されたものだった。しかし今回は、世界規模のものだ」と述べた。

「支援が一時停止されるだけでなく、すでに資金が提供されて進められている既存の契約にも『業務停止』命令が出されることになる。極めて広範囲に影響が及ぶ」

AFP通信は、拠出の凍結は、ロシアの侵攻が続くウクライナにも影響を与える可能性があると報じた。ウクライナはバイデン前政権から、数十億ドルもの武器支援を受けていた。

ルビオ国務長官は通達の中で、拠出を凍結しなければ、新政権は既存の対外支援に「重複がなく、効果的であり、トランプ大統領の外交政策に沿ったものかどうか」を評価することはできないと、今回の措置を正当化している。

通達によると、ルビオ氏は緊急食料支援については対象外としたという。

イスラエルとイスラム組織ハマスのガザ停戦が始まって以降、ガザへの人道支援が急増している。また、スーダンなど世界の一部地域が飢餓の危機に直面している。アメリカの支援停止の通達は、こうした中で出された。

通達は、ルビオ氏が、「イスラエルとエジプトへの対外軍事拠出と、対外軍事拠出を管理するのに必要な、給与を含む管理費」については停止措置を免除したとしている。

BBCは米国務省にコメントを求めている。

(英語記事 US issues pause on foreign aid, leaked memo says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cr53vy1q9d9o


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