2025年2月11日(火)

BBC News

2025年1月27日

韓国南西部・全羅南道の務安(ムアン)空港で昨年12月29日に起きた済州(チェジュ)航空機の事故について、韓国当局による事故原因調査の予備報告書が27日公表され、事故機に鳥が衝突したことを示す痕跡が両エンジンにあったことが明らかになった。事故では179人が死亡した。

予備報告書によると、トモエガモの羽や血痕が事故機の両エンジンで見つかったという。トモエガモは大群で移動する冬の渡り鳥。

韓国国内で起きた飛行機事故で過去最多の死者を出したこの事故について、調査当局は今後、バードストライク(飛行機が鳥と衝突すること)の影響や、着陸装置のないまま着地した事故機が滑走路の先で激突したコンクリート構造物の影響について、詳しい調査を進めていく。

事故機は旅客機はボーイング「737-800」型で、タイ・バンコクから務安空港へ向かっていた。務安は首都ソウルから約288キロ南。

韓国の現地時間午前8時57分ごろ、操縦士が務安空港の管制官と交信を開始してから3分後に、管制塔は「鳥の活動」に注意するよう呼びかけた。

午前8時59分には操縦士が、鳥との衝突を管制塔に報告し、遭難信号「メーデー」を通信した。

報告書によると、操縦士は反対側からの着陸を求め、管制塔がこれを許可。航空機は着陸装置のないまま着陸し、滑走路を乗り越え、コンクリート構造物に激突して炎上した。

当局はこれまでに、飛行データおよびコックピットの音声データを記録するレコーダーが、事故の約4分前に記録を停止したと発表していた。

同型機の操縦経験をもつ複数の専門家は、滑走路沿いにコンクリート障壁があった点を問題視しており、これがなければ犠牲者数はもっと少なかったかもしれないと指摘している。

このコンクリート構造物は、航空機の着陸を支援する「ローカライザー」装置の土台として設けられていた。

韓国の国土交通省によると、このシステムが国内外の他の空港にも存在する可能性があるという。

韓国当局は今月中旬、全国7カ所の空港で着陸支援に使われるコンクリート障壁を変更することを発表した。これらの空港では点検後に滑走路の安全区域も見直す予定。

予備報告書は、国際民間航空機関(ICAO)とアメリカ、フランス、タイの当局に提出された。

(英語記事 Bird feathers found in engines of crashed Jeju Air jet

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cp8kw313rlpo


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