
パレスチナ・ガザ地区で南部へ避難していた住民の北部への帰還が27日朝に始まり、住民の長い列ができている。イスラエル政府はパレスチナ人の帰還を求める条件として、イスラム組織ハマスが人質にしていたイスラエル人民間人の女性の解放を求めており、予定より2日遅れてハマスがこれに応じる姿勢を示したため。ガザ地区南部に避難していた50万人以上が、北部へ戻ろうとするとみられている。
今月19日の停戦発効に基づき、イスラエル政府はガザ北部への住民帰還を認める方針を示していたものの、25日の人質解放に民間人アルベル・イエフドさん(28)が含まれていなかったことから、膠着(こうちゃく)が続いていた。
停戦合意では、イエフドさんは最初に解放される2つの人質グループのいずれかに含まれるはずだったが、19日にも25日にも解放されなかった。
イエフドさんは、武装勢力「イスラム聖戦(イスラミック・ジハード)」に拘束されていると考えられている。
ハマスは27日にイエフドさんのほか人質2人を30日に解放し赤十字国際委員会に引き渡すと合意し、交渉を仲介するエジプト政府の担当者に、イエフドさん生存の証拠を提示。このことから、イスラエル側が住民の北部帰還を認めたもよう。
現地時間午前7時ごろから、パレスチナ人が北部へ向かう様子が映像で見られるようになった。
北部帰還を目指す住民は25日にネツァリム回廊を北へ向かうため、集まっていた。
イスラエル軍のアラビア語報道官アヴィチャイ・アドラエ氏は27日、ガザ北部への住民帰還について、「午前7時からネツァリム回廊およびラシド通り(海岸通り)を経て」徒歩で戻ることを認めると発表。車両は午前9時から、「検査後」に北部への移動を認めた。
他方、「この経路を通じて戦闘員や武器をガザ地区北部へ移動させることは、停戦合意違反とみなす」とも報道官は述べた。
民間人のアルベル・イエフドさんはハマスによる2023年10月7日の攻撃で、イスラエル南部ニル・オズにある自宅から拉致された。
恋人のアリエル・クニオさんも誘拐され、2023年10月に拉致された、きょうだいのダヴィドさんと共にまだガザにいるとされている。
他方、アルベル・イエフドさんの兄ドレヴさんも人質にされたと思われていたものの、後にニル・オズで見つかった遺体がドレヴさんだと確認された。
(英語記事 Thousands of Palestinians return to north Gaza after deal reached for civilian hostage)