
日本のテレビ局大手フジテレビの嘉納修治会長と港浩一社長は27日、著名テレビ司会者で人気グループ「SMAP」のメンバーだった中居正広氏による性的問題行動の疑惑をめぐり、引責辞任した。
日本の報道によると、嘉納氏と港氏は記者会見を開き、視聴者や関係者に心配と迷惑をかけたことを頭を下げて謝罪。嘉納氏は会見冒頭、「社として人権に対する意識の不足から十分なケアができなかった。当事者の女性に対し、心からおわび申し上げたいと思います」と述べた。
新社長には、フジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス専務取締役の清水賢治氏が28日付で就任する。
清水氏はこの日の会見で、人権を「侵害する行為は決して許されません」として、「逸脱する行為への厳正な対処、再発防止策を決意を持って進めて参ります」と述べた。さらに、「信頼回復なくしてフジテレビに未来はありません。この覚悟を胸に全力で取り込む所存です。ゼロからスタートです」と強調した。
フジ・メディア・ホールディングスは同日に声明で、嘉納氏と港氏が退任後も第三者委員会による調査に協力すると説明。「公正で透明性を重視した経営を徹底し、ステークホルダーの皆様からの信頼の回復と企業価値の向上に向けて全力を尽くしてまいります」とした。
フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスは23日、臨時取締役会を開き、日本弁護士連合会(日弁連)のガイドラインに基づく第三者委員会の設置を決定したと発表している。
「カメラから逃げたと言われても仕方がない」
日本の芸能界とテレビ業界を揺るがしたこのスキャンダルについて、フジテレビが17日に開いた記者会見は限定的なもので、回答も不十分だったと批判された。同社によるスキャンダル隠蔽(いんぺい)の疑いが広がる中、企業数十社がフジテレビでのコマーシャル放映を次々と見合わせていた。
日本の総務省はフジテレビに23日、「早急に事実関係を明らかにし、視聴者やスポンサーの信頼回復」に努めるよう要請した。
フジ・メディア・ホールディングスの大株主、米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」の関連会社「ライジング・サン・マネジメント」は公開書簡で「(フジ・メディア・ホールディングスの)コーポレートガバナンスに深刻な欠陥があることを露呈している」と書いていた。
こうした中、27日の記者会見はオープンな形で行われた。
港氏はこの日、批判された17日の会見に言及。出席を一部のメディアに限定し、かつテレビカメラを入れない形で行うという判断は「テレビ局としての透明性や説明責任を欠くもの」だったと述べた。
さらに、「これまでカメラを向けて疑惑を追及してきた弊社が、カメラから逃げたと言われても仕方がないことだった」と認めた。
また、中居氏のスキャンダルへの対応については、「私自身が人権への認識が不足していた。会社のガバナンスを十分に機能させることができなかった」と述べた。
その上で、トラブルにあった女性について「願わくばご本人にお会いして直接おわびしたいと考えている」とも話した。
中居氏は23日に引退発表
日本の有名男性アイドルグループ「SMAP」の元メンバーで、複数のテレビ番組で司会を務めていた中居氏をめぐっては、週刊文春などが昨年末、2023年に女性に対する性的加害トラブルを起こし、9000万円の解決金を支払ったと報じた。
17日の会見で港社長は、トラブルが起きた直後の2023年6月に事態を把握していたと認めた。ただ、女性の体調面やプライバシーの保護などを理由に、トラブルについては公表しなかったと説明。事態把握後も、中居氏が出演する番組を継続した。
これを受けて今月22日までに、中居氏が出演していたすべてのレギュラー番組の放送終了や降板が決定。中居氏は23日、芸能活動からの引退を発表した。
中居氏は今月9日にも声明を発表し、「トラブルがあったことは事実」と認めつつ、「手を上げる等の暴力は一切ございません」と強調。「双方の代理人を通じて示談が成立」し、解決済みだと説明していた。しかし、「示談が成立したことにより、今後の芸能活動についても支障なく続けられることになりました」というコメントが波紋を呼ぶなど、世間の怒りは収まらなかった。
日本の他のテレビ局も、芸能人と局員がかかわる同様の食事会は業界で決して珍しいことではないという指摘を受け、社内調査の実施を表明している。
(英語記事 Top executives resign over Japanese TV host's sex scandal )