2025年2月11日(火)

BBC News

2025年1月28日

コンゴ民主共和国(DRC、旧ザイール)東部の都市ゴマで先週末から、反政府勢力と軍の戦闘が激化している。両者は銃撃戦を繰り広げている。

ゴマ住民の1人は、「街中に銃声が響いている」とし、先週末から自宅を出られずにいるとBBCに語った。

同国では26日、反政府勢力「3月23日運動(M23)」が電光石火の進撃を見せ、数万人が近隣の町から避難する事態となった。住民たちは、ゴマの複数の主要道路をM23が巡回する様子をとらえた動画を共有した。

M23側は、ゴマを掌握したと主張しているが、当局はこれを否定している。

地元のジャーナリストは、市内の一部地域で軍と反政府勢力の衝突が起きているとし、「私たちは本当に不安に思っている」とBBCに語った。

国連が支援するラジオ・オカピによると、M23は国営放送局RTNCのゴマ支局を掌握したという。

この戦闘で、少なくとも17人が死亡し、300人以上が負傷したと、AFP通信は伝えている。

M23の急速な進撃の数時間前には、コンゴ民主共和国の外相が、隣国ルワンダがM23を支援するために国境を越えて部隊を派遣し、宣戦布告したと非難していた。

ルワンダはM23への支援を否定していない。同国は、コンゴ民主共和国の複数当局が、現政権を倒そうとする民兵を支援していると非難している。

東アフリカ共同体の現議長であるケニアのウィリアム・ルト大統領は、戦闘を停止するよう呼び掛けている。ルト氏は、コンゴ民主共和国とルワンダの大統領が29日の緊急地域サミットに出席すると発表した。

紛争の平和的解決は、地域の指導者たちに課せられた責務だと、ルト氏は述べた。

ゴマでの衝突が激化する中、隣国ルワンダでも被害が出ている。

ルワンダ軍の報道官はAFP通信に対し、ゴマと国境を接するルワンダの町ギセニで、市民5人が死亡し、25人が重傷を負ったと述べた。

双方がゴマ掌握を主張、人道活動に支障

M23は2021年から、鉱物資源の豊富なコンゴ民主共和国東部の広大な地域を掌握している。ここ数週間では、激しい戦闘の中、ゴマに向けて急速に前進していた。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、北キヴ州と南北キヴ州では、今年に入ってから40万人以上が家を追われている。

M23の前進から逃れなければならなくなったのは今回で4度目だという女性は、次に何をすればいいのか途方に暮れていると語った。

ゴマ周辺の主要道路は封鎖され、市内の空港は避難や人道支援目的での使用ができなくなったと、国連は発表した。

M23がゴマ掌握を主張すると、政府は、空港を含む戦略的地域は依然として政府軍が掌握していると主張した。

政府は27日朝、「ソーシャルネットワーク上で流布されている操作的なメッセージとは裏腹に、FARDC(コンゴ民主共和国軍)はゴマ空港と(中略)北キヴ州の州都にあるすべての戦略的要衝を掌握している」との声明を発表した。

さらに、FARDCは「最大の犠牲を払ってでも自国を守ると、これまで以上に固く決意している」とした。

ゴマ市民の1人はロイター通信に対し、「市内は混乱していて、空港近くでは兵士の姿を見かける。M23はまだ見ていない」と語った。複数の店舗で略奪が起きているとも、この市民は述べた。

ゴマ中心部に重砲が撃ち込まれ、刑務所からは多数の脱走者が出たとの報告もある。オンライン上で共有された、複数の未検証動画には、囚人が脱走している様子とみられるものが映っている。

治安当局筋は、囚人3000人を収容する刑務所に火がつけられたと、AFP通信に語った。また、脱獄に絡んで死者も出たとした。

市内の多くの地域で電気や水の供給が遮断されていると報じられている。

ルワンダがM23を支援か

反政府勢力は、軍に武器を放棄するよう求め、48時間の期限を設けたが、27日未明にその期限は過ぎた。

国連の平和維持軍によると、FARDCの一部の兵士は期限前に武器を放棄したという。

アントニオ・グテーレス国連事務総長はルワンダに対し、コンゴ民主共和国の領土から部隊を撤退させ、M23の前進を止めるよう求めた。

平和維持軍はM23との衝突で、兵士13人を失った。

コンゴ民主共和国も国連も、M23がルワンダからの支援を受けているとしている。

国連安全保障理事会の会合で、ルワンダのアーネスト・ルワムキョ国連代表は、国際社会が、停戦に違反したFARDCではなく、M23を非難するという選択をしたことを遺憾に思うと述べた。

国連は25日、日常生活の維持に必須ではない仕事に従事するスタッフ全員を、ゴマから引き揚げると発表した。

M23は2012年、別の反政府勢力の分派として結成された。表向きは、コンゴ民主共和国東部のツチ族の保護を目的としている。ツチ族は長年、迫害や差別を訴えている。

ルワンダは過去に、1994年のルワンダ虐殺に関与し、コンゴ民主共和国に逃亡した者たちと、コンゴ民主共和国の当局が協力関係にあると主張していた。

一方でルワンダは、コンゴ民主共和国東部から金やコバルト、タンタルといった鉱物を略奪するためにM23を利用していると非難されている。

(英語記事 Fighting rages as rebels and army clash in DR Congo

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c99yg5l7jj3o


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