
2023年10月7日にパレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスに人質として連れ去られ、今年1月の停戦合意に基づく人質交換で解放されたエミリー・ダマリ氏(28)が、15カ月の拘束中、一時的に国連施設に収容されていたと語った。
イギリスとイスラエルの二重国籍を持つダマリ氏は1月31日、キア・スターマー英首相と電話で会談。その際、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の施設に収容されていたと述べた。
また、拘束中に手と脚を撃たれたにもかかわらず、治療を受けることができなかったとも語った。
UNRWAは声明で、人質が国連施設に収容されていたという主張は「非常に深刻」なもので、ハマスを含むパレスチナ武装勢力が施設を不正使用しているという指摘について、独立した調査を繰り返し求めていると述べた。
イスラエルはかねて、UNRWA職員が10月7日の攻撃に関与していたと繰り返し非難しているほか、ハマスがガザのUNRWAの建物を使用していたと主張している。イスラエル政府は、同組織の活動を禁止する。
ダマリ氏はスターマー首相との電話会談で、UNRWA施設に拘束されていた間、監禁者から脚と左手の銃創の治療用に古いヨウ素のビンだけを渡されたが、左手の指を2本失ったと語った。
UNRWAのジュリエット・トゥーマ広報担当主任はBBCラジオ4の番組で、ダマリ氏の主張について質問されると、「我々は何カ月もの長い間、複数の(UNRWA)施設にアクセスできなかった」と述べた。
「そのため戦争が始まったとき、私たちの建物の大部分は避難所に変わった。ある時点では、これらの避難所に100万人が収容されていた」
英首相官邸の報道官は、「UNRWAが施設の使用に関する調査を求めていることを歓迎する」と述べた。
ダマリ氏はスターマー首相との電話会談で、自身の解放を求めて活動してくれたイギリスの人々に感謝の意を表した。
イスラエルとハマスの間で成立した停戦合意では、ガザで拘束されている人質が段階的に解放され、イスラエルの刑務所に収容されているパレスチナ人と交換される。
2月1日にはさらに3人の人質が解放される予定で、代わりに183人のパレスチナ人受刑者が釈放される見込みだ。
2023年10月7日にハマスがイスラエルを攻撃した際、約251人が人質として連れ去られ、約1200人が殺害された。
この攻撃はガザを壊滅させた戦争を引き起こした。ハマスが運営するガザの保健省によると、イスラエルが行った15カ月にわたる軍事攻勢で、4万7460人のパレスチナ人が殺された。
(英語記事 British-Israeli hostage says Hamas held her at UN facilities )