2025年2月7日(金)

BBC News

2025年2月3日

米首都ワシントン近郊で旅客機と陸軍ヘリが空中衝突した1月29日夜の事故について、ショーン・ダフィー運輸長官は2月2日、この日の航空管制の人員配置が「通常ではなかった」と認めた。

この事故では、アメリカン航空機の乗客・乗員64人と陸軍ヘリの兵士3人が全員死亡。2日までに55人の遺体が、両機が墜落したポトマック川から収容されており、ダイバーは残りの12人を捜索し続けている。

米メディアは、事故が発生した29日のレーガン・ナショナル空港の管制塔が人手不足だったと、政府の報告書に書かれていると報じている。

FOXニュースの日曜日(2日)の番組でこの報道について尋ねられたダフィー長官は、「連邦航空局(FAA)の言葉を信じるなら、それは通常ではなかった」と述べた。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースは情報筋2人の話として、空港では事故当時、ヘリコプターと一部の飛行機を1人の航空管制官が担当していたと報じた。この業務は通常、2人で行うものだという。

ダフィー長官は、「これは私たちが再検討すべき課題の一部だった」と述べた。

また、事故が発生した時間帯に、予定より1時間早く航空管制官の集約が行われたと説明。「その適切性はどうだったのか」と疑問を投げかけた。

さらに、管制官が「FAAの手順に従って適切に交通を指示したかどうか」や、ヘリコプターの高度についても疑問を呈した。

国家運輸安全委員会(NTSB)のトッド・インマン委員によると、初期調査のデータではヘリコプターは高度約60メートルを飛行していたという。レーガン・ナショナル空港付近ではヘリコプターの飛行高度の上限は60メートルだとCBSは伝えている。

ダフィー長官は、軍用ヘリの飛行のタイミングについても疑問を呈した。

「なぜ午後9時に非常に混雑した空域を飛行するのか。(中略)交通量が非常に少ない午前1時にその任務を行うのではなく」と、ダフィー長官は指摘。

「軍が訓練され、準備が整っていることを望んでいるが、同時に航空旅行者の安全も確保したい。交通の混雑がある午後9時ではなく、適切な時間と場所で行うべきだ」と述べた。

NTSBの当局者は30日の時点で、調査員が事故の原因を特定するために高度を含む多くの要因を検討しているが、まだ公式には結論を出していないと述べている。

米軍は2月1日の記者会見で、ヘリコプターの乗組員は首都ワシントンに拠点を置き、軍や政府の高官を支援するための日常任務を遂行していたと述べた。

29日の飛行は、認定更新のために毎年必要とされる訓練任務であり、地元で何度も飛行経験のある経験豊富なパイロット2人が指揮していたという。

ダフィー長官は、アメリカには航空管制の慢性的な人手不足の問題があると述べた。

米メディアは、国内の航空管制施設の90%以上が人員配置の点で、FAAの推奨基準を下回っていると報じている。

ダフィー氏は、「アメリカには長い間、十分な航空管制官がいなかった」と述べ、「彼らはストレスを抱え、限界に達し、過労状態にある。それは言い訳にはならないが、現実の問題だ」と付け加えた。

そのうえで、FAAと協力して新しい航空管制官を訓練しており、「問題を解決するための計画があるが、きょうあすでスイッチを入れて航空管制官を配置することはできない」と述べた。

当局が事故原因を調査する中、現場では遺体の収容と機体の回収作業が続いている。

ワシントンのジョン・ドネリー消防局長は、「すべての犠牲者を収容できると信じているが、現時点では彼らがどこにいるのか分からない」と述べた。

陸軍のフランシス・ペラ大佐は、3日朝から陸軍が機体の残骸の引き上げを始めると発表。遺体が発見された場合は作業を中断する予定だと述べた。

「この悲劇的な事件で失われた人々を家族に引き合わせるという使命が私たちを支えている」

2日には、作業中の警察ダイバーが低体温症で病院に運ばれたが、回復したという。

また、この日の朝には、遺族数十人が事故現場に集まった。

家族らは警察の護衛付きのチャーターバスで到着。まず事故現場に向かい、その後、飛行機が着陸する予定だった滑走路に移動した。

ドネリー消防局長は参加しなかったが、事前に家族と面会し、彼らが「さまざまな感情を抱えながら悲しんでいる」と述べた。

「家族は愛する人を取り戻すことに集中している。強い人々だ」

(英語記事 Air traffic control staffing 'not normal' during DC crash - officials

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cpvm8nv8238o


新着記事

»もっと見る