
スウェーデン中部の教育施設で4日、銃撃があり、10人が殺害されたと警察が発表した。容疑者の男性も死亡が確認された。
銃撃事件は首都ストックホルムの西200キロに位置するエーレブルの教育施設キャンパス・リスベルグスカで起きた。この教育施設は、主に初等・中等教育を修了していない人たちが通う、「コンヴックス」と呼ばれるスウェーデンの成人向け学校。キャンパスにはほかの学校も複数併設されている。
ウルフ・クリステション首相は、「スウェーデン史上最悪の銃撃事件」だと述べた。
警察は先に、数人が負傷し、死者数が今後増える可能性があると警告していた。
警察は当初、撃たれたのは5人だと発表。殺人未遂、放火、武器の加重所持の事件として捜査を開始した。
地元メディアはその後、数人が死亡したと報道。警察は「約10人」が死亡したが、死者数については「具体的には言えない」としていた。
警察は5日朝の声明で、負傷者の人数はいまだ不明だとした。
エーレブル大学病院によると、銃撃で負傷した5人が救急治療室で治療を受けた。6人目の負傷者については、銃撃でけがをしたのではないとし、「軽傷」だとした。
エーレブル郡の発表によると、同病院で治療を受けている負傷者の中に子供はいないという。
警察は、犯行動機は「テロ関連」ではないと説明。直ちに特定できないとしつつ、「イデオロギー的な」可能性はないとした。
容疑者については、以前から把握していたわけではないとし、単独で犯行に及んだとみられるとした。
クリステション首相は同日夕の記者会見で、「今日起こったことの大きさを受け止めるのは難しい」と、語った。
会見に同席したグンナー・シュトロマー法相は、「悲劇」に見舞われた人々に哀悼の意を表し、5日には全国の学校に安全に登校できるようになると述べた。
「これほどの規模の学校での銃撃事件は見たことがない」と、シュトロマー氏は述べた。
何があったのか
警察は4日午後12時33分、キャンパス・リスベルグスカで銃撃が起きたとの通報を受けた。
教師たちは銃声が聞こえたため、生徒を誘導して教室から避難したり、教室でバリケードを築いたりしたという。
教師のマリア・ペガドさんは、15人の生徒全員を廊下に連れ出すと、皆が走り出したとロイター通信に語った。「負傷者を1人、また1人と引きずり出す人たちを見た。とても深刻な状況なんだと悟った」。
同じく教師のレナ・ワレンマルクさんは公共放送SVTに対し、自分の研究室にいた時に銃声を聞いたと語った。「最初に数回の銃声が短く続き、少し間をおいて、また数回の銃声が聞こえた」。
ワレンマルクさんによると、4日は試験を終えて帰宅した生徒が多く、校内にいた生徒はめずらしく少なかったという。
警察は銃撃が起きた地域にある六つの学校とレストラン1店を封鎖し、市民に現場周辺から離れるか、自宅にとどまるよう求めた。
ソーシャルメディアに浮上した動画には、机の下に身をひそめる生徒たちが映っている。
また、バルコニーから撮影された動画では、人々が慌てて逃げる中、銃声が連続して響く様子が確認できる。
銃撃犯について分かっていること
警察は容疑者について、単独犯で、「約10人」の死者に含まれていると考えている。
エーレブルの警察のロベルト・イード・フォレスト本部長は、容疑者について、以前から把握してはいなかったとし、ギャングとのつながりもなかったと述べた。
また、犯行動機はテロ関連ではないとみているとした。
「我々はシークレット・サービスと連携している。私の知る限り、この人物(容疑者)は警察が把握していない人物だ」と、フォレスト氏は述べた。
そして、使用された武器の種類については「銃器であったこと以外」は「何も言えない」と付け加えた。
容疑者が銃を使って自殺したとの報道について問われると、警察は、それに関する情報は持ち合わせていないと答えた。
スウェーデンの学校で銃撃事件が起きるのは非常にまれで、今回のような規模の事件は過去に例がない。
「スウェーデン史上最悪の銃撃事件」だと語ったクリステション首相は、犯行動機について推測しないよう市民に求めた。
ストックホルム南部の学校では昨年9月、銃撃事件が起き、15歳の生徒がクラスメートにけがを負わせたとされている。これは同国で問題となっているギャングによる暴力事件との関連が指摘されている。
(英語記事 Police say around 10 people killed in Sweden school campus shooting/What we know so far about Sweden school shooting