2025年2月14日(金)

BBC News

2025年2月5日

米グーグルの親会社の米アルファベットは、人工知能(AI)を兵器や監視ツールの開発目的では決して使わないという約束を削除した。

アルファベットは、AI使用の指針となる行動規範を書き換え、「危害を加える可能性が高い」利用を禁じる項目を削除した。

グーグルのジェイムズ・マニーカ上級副社長と、AI研究所の「グーグル・ディープマインド」を率いるデミス・ハサビス氏は4日付の連名のブログ投稿で、この削除の正当性を主張した。

両者は、「国家安全保障を支援する」AIに関して、企業や民主的な国々の政府が協力する必要があるとしている。

AIの専門家や関連業務に携わる人たちの間では、この強力な新技術を大まかにどう管理すべきか、商業利益が方向性を決めるのをどこまで許容すべきか、人類にとってのリスクからどう自分たちの身を守るのが最善か――といった議論が交わされている。

戦場や監視技術におけるAIの使用についても、論争が起きている。

マニーカ上級副社長らのブログ投稿は、2018年に発表された元のAI行動規範について、技術の進化に伴い更新が必要だと主張。

「何十億人もがAIを日常生活で使用している。AIは汎用(はんよう)技術となり、無数の組織や個人がアプリ開発のために使うプラットフォームになった」とした。

一方で、世界の地政学的な状況はますます複雑になっていると説明。「AI開発は、自由、平等、人権の尊重といった核となる価値観に導かれて、民主主義国家がリードすべきだと信じている」とした。

そのうえで、「このような価値観を共有する企業や政府、組織は、人々を守り、世界の成長を促し、国家安全保障を支えるAIを創造するために協力すべきだと信じている」と記した。

モットーの変遷

このブログ投稿は、アルファベットの年度末決算報告を前に公開された。売上高は市場の予想を下回り、株価は下落した。ただ、同社の最大の稼ぎ頭であるデジタル広告の売上高は、アメリカの選挙に後押しされ、前年同期比10%増だった。

決算報告でアルファベットは、AIプロジェクトに750億ドル(約11.6兆円)を投じると表明した。これは、米金融アナリストらの予想より29%多い。

グーグルではもともと、共同創業者のセルゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏が、会社のモットーとして「邪悪になるな」を掲げていた。しかし、2015年にアルファベットに再編された際、同社は「正しいことをしろ」に切り替えた。

以来、グーグルの従業員らは時折、幹部たちの方針に反発している。2018年には、米国防総省の「プロジェクト・メイヴン」をAIの殺傷目的での使用の第一歩だとし、グーグルの数千人が同省とのAI業務の契約に抗議して退職や署名をした。これを受け、同社は契約を更新しなかった。

(英語記事 Google drops pledge on AI use for weapons

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c8975envgpjo


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