
サッカー・スペイン女子代表のジェニファー・エルモソ選手に同意なしにキスしたとして、性的暴行などの罪に問われた同国サッカー連盟のルイス・ルビアレス元会長に対し、同国の裁判所は20日、罰金1万800ユーロ(約170万円)の支払いを命じる有罪判決を言い渡した。
元会長は、キスは合意の上だったと表明するようエルモソ選手に圧力をかけたとして強要罪でも起訴されたが、それについては無罪とされた。
検察は、ルビアレス元会長に禁錮2年6カ月を求めていた。
判決は元会長に、エルモソ選手の半径200メートル以内に近づくことや、同選手と1年間連絡を取ることを禁止した。
元会長は判決を不服とし、上訴するとしている。
元会長は会長だった2023年、豪シドニーで開かれたワールドカップ(W杯)で、スペインがイングランドを破って優勝した後のメダル授与式において、エルモソ選手の頭をつかみ、唇にキスをした。
この出来事は、何百万人ものテレビ視聴者と、当時スタジアムにいた全員が目にした。その後、スペインでは抗議行動や会長辞任の要求が起こり、選手らが性差別への対応などを求める「MeToo」スタイルの運動も生まれた。
元会長は、辞任要求に数週間抵抗したが、国際サッカー連盟(FIFA)から資格停止処分を受け、スペイン検察当局が捜査を開始すると、2023年9月に辞任した。
「最も幸せな日の一つを汚した」
元会長は先週の公判で、キスをする前にエルモソ選手が同意を示していたと、「間違いなく確信している」と主張していた。
また、キスは 「愛情の行為」だったとし、「完全に自然発生的なもの」だったと訴えた。
これに対しエルモソ選手は今月、元会長に許可は与えなかったと法廷で証言。この出来事が「自分の人生で最も幸せな日の一つを汚した」と述べた。
さらに、「ボスが私にキスをしてきた。これは、社会的な付き合いや仕事の場で起きていいことではない」、「唇へのキスを認めるのは、私がそう決めた時だけだ」と主張していた。
この出来事をめぐっては、元会長の同僚でW杯優勝チームを率いたホルヘ・ヴィルダ元監督、スペインサッカー連盟のルーベン・リヴェラ元マーケティング責任者、アルベルト・ルケ元スポーツディレクターの3人も強要を共謀した罪に問われたが、いずれも無罪となった。
(英語記事 Spain's ex-football boss Luis Rubiales fined for World Cup kiss)