
ドナルド・トランプ米大統領は21日夜、米軍制服組トップのCQ・ブラウン統合参謀本部議長を解任した。トランプ政権は米軍上層部の解任を繰り返している。
トランプ氏はソーシャルメディアに、「チャールズ・CQ・ブラウン将軍に、今の統合参謀本部議長としての任期を含め、40年以上にわたり我が国に尽くしてくれたことに感謝したい」と書いた。大統領は、ほかに軍幹部5人が交代するとも述べた。
統合参謀本部の議長を黒人が務めるのは、ブラウン将軍で史上2人目だった。議長は国家安全保障について、大統領と国防長官に助言するのが職務。 黒人として初めてこの職に就いたのは、1989年から1993年まで務めた故コリン・パウエル氏だった。
ピート・ヘグゼス国防長官はかつて、ブラウン議長が軍内で「多様性、公平性、包摂性(DEI)」推進プログラムに注力し、「ウォーク(woke、社会問題への認識が高いこと)」だと非難し、それを理由に解任すべきだと主張していた。
ヘグゼス長官は21日夜、ほかに海軍作戦部長のリサ・フランチェッティ中将と空軍ナンバー2のスライフ空軍副参謀総長の解任を発表した。 女性が海軍作戦部長になるのは、フランチェッティ中将が初めてだった。
今回解任された3人はいずれも、ジョー・バイデン前大統領によって任命された。
ヘグゼス長官は声明で「トランプ大統領の下で我々は、戦争の抑止、戦闘、勝利という核心的な任務に軍を集中させるための、新しい指導体制を整えている」と述べた。
トランプ大統領は、ダン・ケイン空軍中将を統合参謀本部の新議長に指名すると述べた。ケイン中将はかつてF-16戦闘機の操縦士で、近年は中央情報局(CIA)の軍事担当次官を務めていた
トランプ氏が解任を発表する約2時間前、ブラウン将軍は米南部国境に配備されている部隊を訪問していた。
ブラウン将軍の議長任期は2027年までで、大統領による解任のうわさが今週しきりに飛び交っていた。
ブラウン将軍は2020年、黒人男性ジョージ・フロイドさんがミネソタ州で警察の取り調べ中に死亡した事件を受けて、現役の軍幹部として人種問題について異例の発言をし、注目を集めた。 空軍へのビデオメッセージで、部隊内の数少ない黒人男性の一人として自分がどのようなプレッシャーを感じたか、自分の能力や適性がどのように疑問視されてきたかなどを語っていた。
トランプ大統領は1月20日に就任して間もなく、多様性への「過度な重点」を理由に、沿岸警備隊初の女性司令官を解任してた。
ヘグゼス長官は指名承認される以前の昨年11月にポッドキャストで、米軍には多様性重視など多くの問題があり、トランプ政権は「軌道修正」すべきだと主張。 「まず第一に、統合参謀本部議長を解任する必要がある」と提案していた。
国防総省は21日に予算を削減し、試用期間中の職員5400人を来週にも解雇すると発表した。
一方、メリーランド州にある連邦地裁は、トランプ大統領によるDEI推進プログラム禁止を、一時的に差し止めた。 アダム・エイブルソン判事は、トランプ大統領の命令はおそらく合衆国憲法の言論の自由の権利を侵害する可能性が高いという見方を示した。
(英語記事 Trump fires top US general CQ Brown in shake-up at Pentagon)