2025年3月26日(水)

BBC News

2025年2月25日

ウクライナのゼレンスキー大統領

ロシアによるウクライナ全面侵攻の開始から3年となった24日、同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領は首都キーウでの記者会見で、「今年中にこの戦争を終わらせることを願っている」と述べた。

キーウではこの日、欧州首脳らとカナダのジャスティン・トルドー首相を迎えて会合が開かれ、各首脳らがウクライナへの支持を表明した。

記者会見でゼレンスキー氏は、3年間の戦争を経た現在、ウクライナとウクライナ国民にどのような希望を抱いているかと質問されると、「今年中に戦争を終わらせたいと願っている」と返答。これまでの時間は、すべての国民にとって「非常に困難」だったと付け加えた。

ゼレンスキー氏はまた、ウクライナは短期的には、ロシアが数年後に戻ってくるのを防ぐための安全保障の保証が必要だと主張。欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)にすぐに加盟できれば、「とても大きな助けになる」と述べた。

ウクライナのNATO加盟をめぐっては、ロシアが一貫して反対しており、いかなる和平合意にも含まれないとしている。

ゼレンスキー氏は、ウクライナのNATO加盟が認められるなら大統領を辞任してもいいと、23日に述べている

トランプ氏との関係について

記者会見でゼレンスキー氏は、アメリカおよび同国のドナルド・トランプ大統領との関係について何度か質問された。ゼレンスキー氏は直接は答えず、「アメリカが、すべてのパートナー国と同様、支援を続ける」ことを望んでいると述べた。

トランプ氏は先週、ゼレンスキー氏を「独裁者」と呼び、ウクライナのリーダーとして「ひどい仕事」をしたと批判した。これに対しゼレンスキー氏は、トランプ氏がロシアにコントロールされた「偽の情報空間に生きている」と述べた。

トランプ氏は繰り返し「迅速な和平」を求めている。トランプ氏の案では、ウクライナがロシアにかなり譲歩する形で戦争が終結することになる。

完全な捕虜交換を主張

ゼレンスキー氏はこの日、ロシアとの完全な捕虜交換が、戦争終結の「始まり」になるかもしれないとの考えも示した。

ロシアとウクライナの間では戦争開始以来、捕虜交換が60回実施されている。昨年12月には数百人規模の捕虜交換があった。

ゼレンスキー氏は、「これは公平で公正な選択肢だ」と主張。ロシアには数千人のウクライナ人が拘束されており、2014年のロシアによるクリミア侵攻以来、拘束され続けている人もいるとした。

ウクライナは、ロシアに拘束されている捕虜の人数を公表していない。だが、8000人を超えるとみられている。

アメリカは出席せず

この日の首脳会合には、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、欧州理事会のアントニオ・コスタ議長と、カナダ、デンマーク、アイスランド、ラトヴィア、リトアニア、フィンランド、ノルウェー、スペイン、スウェーデンの各国首脳が出席した。

イギリス、ドイツ、日本などの首脳はオンラインで発言した。アメリカ代表の姿はなかった。

カナダのトルドー首相は、「この世界では、力が正しいことにはならない」と発言。これは、最近のロシアとアメリカの高官協議に対する言及とみられている。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、ウクライナでの戦争が終結した場合の平和維持軍の派遣について、柔軟に対応する考えを表明。ただ、まず「多くの問題に答えが示される必要がある」とした。

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、「生存をかけたこの戦いで、危機に直面しているのはウクライナの運命だけではない。ヨーロッパの運命でもある」とXに投稿。記者会見では、ウクライナが改革のスピードと質を維持すれば、2030年までにEUに加盟できると述べた。

この首脳会合は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が米ワシントンでトランプ大統領と会談する前に開かれた。仏米首脳会談では、ウクライナが議題のトップになるとみられていた。

(英語記事 Zelensky says he hopes to end Ukraine war 'this year'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cp3yzg6r6kro


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