
イスラエル政府は1日、アメリカが提示した、パレスチナ・ガザ地区での停戦を6週間延長する案を承認した。イスラム教の「ラマダン(断食月)」とユダヤ教の「過越祭」の期間を含む。
ネタニヤフ首相は1日に閣議を招集し、4時間にわたり協議した。イスラム組織ハマスとの停戦合意第1段階の期限が過ぎて間もなく、イスラエル政府は停戦延長案を受け入れると発表した。
アメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東特使が提示した案では、ガザ地区で今もハマスに拘束されている人質の半数が、この延長期間の初日に解放される予定。これには、生存者と死者の両方が含まれる。
残りの人質は、「恒久的な停戦に関する合意が成立した場合に解放される」という。
ハマスはイスラエルのこの動きについて、公にコメントしていない。
イスラエル首相府は、ハマスは「これまでのところ」ウィトコフ案を支持していないと主張。ハマスがこの立場を変え次第、直ちに交渉を開始すると述べた。
ウィトコフ特使の提案では、第2段階の交渉が失敗したとイスラエルが判断した場合、42日後に戦闘を再開することができるとされている。
ハマスは2月28日夜、アメリカとカタール、エジプトの仲介者から第2段階が最終的に実施される保証がされない限り、第1段階の延長には同意しないと述べた。
エルサレムで取材しているBBCのポール・アダムズ外交担当編集委員によると、ハマスは、イスラエル占領下のヨルダン川西岸にあるパレスチナ自治政府を含む他のパレスチナ勢力に、ガザ地区の日常の統治業務を引き渡す意思があるかもしれないものの、ガザ地区での勢力は維持するつもりの様子。
1月19日に発効した停戦合意の第1段階は、3月1日に終了した。
第1段階では、約1900人のパレスチナ人の受刑者や収監者の釈放と引き換えに、33人のイスラエル人と5人のタイ人の人質が解放された。
しかし、残りの生存者全員の解放やイスラエル軍のガザ撤退を含む第2段階の交渉は、ほとんど始まっていない。
生存している人質は24人とされ、さらに39人が死亡していると推定されている。
ハマスは2023年10月7日にイスラエルに対して前例のない攻撃を行い、約1200人を殺害し、251人を人質に取った。
イスラエルはこれを受けて空と地上の作戦を展開し、ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、15カ月にわたる戦闘の間に少なくとも4万8365人が殺された。