
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2日、ウクライナ戦争の終わらせ方についてロンドンで開かれた欧州首脳会議に出席した後、英東部ノーフォーク州にある王室の別邸サンドリンガム・ハウスを訪れ、英国王チャールズ3世と会談した。
ゼレンスキー氏がヘリコプターでサンドリンガムに到着する様子を、外に集まった地元住民が見守った。 中にはウクライナ国旗を手にした人たちもいた。
英王室は、国王がウクライナ大統領を「温かく迎え入れた」と説明。2人はサンドリンガム・ハウスの応接室で、茶を共にしながら、1時間近く話し合ったという。
ゼレンスキー大統領は「とても良い会談」だったと述べた。
大統領は記者団に、「この会談にとても感謝している。陛下がウクライナを助け、我々を支援して下さることにとても感謝している」と話した。
「国王は、イギリスで訓練中の我々の兵士に面会している。英王室の支援に、とても感謝している」
チャールズ国王は以前、ウクライナがロシアによる「自分たちの土地への挑発のない攻撃」によって「言葉では言い表せないほどの侵略」を経験したと述べ、ゼレンスキー大統領とウクライナへの支持を表明していた。
国王は昨年、ウクライナ国民は「このような人道的悲劇に直面しても、本当に驚くべき勇気と胆力」を示したとたたえた。
国王とゼレンスキー大統領は2023年2月に大統領がイギリスを電撃訪問した際にバッキンガム宮殿で初めて対面した。国王は同じ日に、英南部ウィルトシャーで訓練中のウクライナ軍を訪問した。
今回の会談は、ウクライナ大統領が要請し、イギリス政府が同意して実現した。
ゼレンスキー大統領は、2月28日に米ホワイトハウスでドナルド・トランプ米大統領と激しい口論となった後にロンドンを訪れ、1日にはキア・スターマー英首相と会談。2日にはスターマー首相主催の欧州首脳会議に出席した。
欧州首脳との会談終了後、スターマー首相はウクライナの平和の保証を目指す4項目からなる計画を発表した。 この計画には、軍事援助の継続や、和平合意の一環としてウクライナ防衛のための「有志連合」創設などが含まれる。
この日のサンドリンガム訪問によって、ゼレンスキー氏はトランプ大統領の2度目のイギリス公式訪問に先駆けて、チャールズ国王に会うことなった。
トランプ氏の2度目の公式訪問についてはスターマー首相が2月27日にホワイトハウスを訪れた際、国王からの招待状をトランプ氏に渡していた。
ゼレンスキー氏の今回の訪英と国王との面会は公式なものだが、国賓として招かれているわけではない。
王室はこれまで伝統的に、2期目のアメリカ大統領を国賓として招くことはせず、代わりにウィンザー城で君主との茶会や昼食会でねぎらっていた。
英米首脳会談でスターマー首相は、2019年のトランプ大統領の公式訪問は「大成功」だったとし、2度目の訪問の招待は「本当に歴史的」かつ「前例のない」ものだと強調していた。
トランプ大統領は国王からの手紙を読んだ後、招待を受け入れ、イギリスという「素晴らしい」国を訪問するのは「光栄」だと応じていた。
公式訪問の時期はまだ発表されていない。
トランプ大統領とゼレンスキー大統領が報道陣の目の前で言い争った会談の後、イギリス国内の一部ではトランプ氏を国賓として招くことを中止するよう求める声が出ている。野党・スコットランド国民党(SNP)のジョン・スウィニー党首によるそうした呼びかけを、スターマー首相は一蹴している。
(英語記事 Warm reception for Zelensky as he meets King at Sandringham)