2025年3月26日(水)

BBC News

2025年3月3日

スターマー英首相(中央)主催の欧州首脳会議に臨むウクライナのゼレンスキー大統領(右)とマクロン仏大統領(2日、ロンドン・ランカスターハウス)

イギリスのキア・スターマー首相は2日、欧州各国がウクライナと協力して戦争を終わらせ、同国をロシアから守っていくための、4項目からなる計画を発表した。

ロンドンではこの日、ヨーロッパを中心とした18の国・機関のトップが集まり、ロシアの侵攻を受けるウクライナでの和平に向けた取り組みなどを協議した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も参加した。

会合後の記者会見でスターマー氏は、「私たちは今日、歴史の岐路に立っている」と主張。イギリス、フランス、その他の国々で「有志連合」としての取り組みを強化していくとした。また、ウクライナへの支援にはアメリカを巻き込んでいく意向も示した。

さらに、会合では4項目で合意に至ったとし、その内容を次のように説明した。

ウクライナへの軍事支援を続け、ロシアに対して経済的圧力を強めていく

いかなる恒久和平もウクライナの主権と安全の確保が条件で、和平交渉にはウクライナが参加しなくてはならない

和平合意が成立した際には、ウクライナの防衛力を強化し、将来の侵略を阻止する

ウクライナでの合意を守り、平和を保証するために「有志連合」を発展させる

有志連合の参加国は明らかにせず

スターマー首相はまた、イギリスとして16億ポンド(約3030億円)の資金を投じて、ウクライナに提供する防空ミサイル5000発以上を購入すると発表した。スターマー氏は前日、ウクライナへの軍事支援を強化するため、凍結ロシア資産の運用益をもとに22億6000万ポンド(約4270億円)を融資することでゼレンスキー氏との間で合意しており、それに上乗せする。

スターマー氏は、「私たちは過去の過ちから学ばなければならない。ロシアが簡単に違反できるようなもろい合意は受け入れられない。どんな合意も力による支えがなくてはならない」と述べた。

「有志連合」については、どの国が参加に同意したか、スターマー氏は明言しなかった。イギリスに関しては、「地上には兵を、空には航空機を」投入していくと強調した。

スターマー氏は、「ヨーロッパが、主な重責を担わなくてはならない」とも述べた。

和平合意については、アメリカの後ろ盾が必要だと強調。ロシアも参加しなければならないが、同国が条件を決めることは認められないとし、こう述べた。

「はっきりさせておきたいが、私たちと(ドナルド・)トランプ(米大統領)は、持続可能な和平が緊急に必要だという点で意見が一致している。そして今、私たちが一緒になって実現する必要がある」

スターマー氏はこの日の欧州首脳会議に先立ち、前夜にはトランプ氏と電話で話をしているとも明らかにした。内容には触れなかったものの、その電話会談を踏まえて今日の協議に臨んでいると話した。

記者から、トランプ政権下のアメリカは信頼できない同盟国なのではないかと問われると、「誰も先週金曜日(2月28日)に起きたことを見たくはなかったが、アメリカが信頼できない同盟国だとは思わない」と答えた。2月28日には、米ホワイトハウスで会談したトランプ氏とゼレンスキー氏が、記者団を前に激しい応酬を繰り広げた

「欧州が結束」とゼレンスキー氏

この日の首脳級会合には、フランス、ポーランド、スウェーデン、トルコ、ノルウェー、チェコ、デンマーク、ドイツ、オランダ、ルーマニア、フィンランド、イタリア、スペイン、カナダが参加した。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も参加し、「ヨーロッパの再軍備」が急務だと述べた。

北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長も出席し、ウクライナが「必要な限り戦い続ける」のに必要なものを確保できるよう、欧州諸国が「今まで以上に前向きになっている」と述べた。

ゼレンスキー氏は、「強力な支援」を実感じているとし、この日の会合は「長い間見られなかった、極めて高い次元での欧州の結束」を示すものだと述べた。

また会合後には、「真の平和と保証された安全のため、アメリカとの協力の基盤を見つけられるよう、私たちはみんなヨーロッパで一緒になって努力している」と話した。

ゼレンスキー氏は会談後、英東部ノーフォーク州サンドリンガムに移動し、国王チャールズ3世と会談した。この日最後の記者会見では、ウクライナの鉱物資源に関する合意文書をアメリカとの間で署名する用意があると述べた。

合意文書はゼレンスキー氏の訪米中に署名される見通しだったが、ホワイトハウスで同氏とトランプ氏が激しいやりとりをしたことで中止された。

アメリカのスコット・ベッセント財務長官は2日、ウクライナとロシアの「和平合意なしには」鉱物資源に関するアメリカとウクライナの合意は実現しないと警告した。

これに対しゼレンスキー氏は同日、BBCの取材に対し、鉱物資源に関してアメリカとの間で合意に署名する準備ができていると説明。「交渉のテーブルの上に置かれている合意文書は、当事者の準備が整えば署名される」と述べた。

(英語記事 Starmer announces 'coalition of the willing' to guarantee Ukraine peace

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cz6139l0nwdo


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