2025年3月26日(水)

BBC News

2025年3月3日

イスラエル軍による攻撃で崩壊した街を歩くパレスチナ人

イスラエル政府は2日、パレスチナ・ガザ地区への全ての人道支援物資の搬入を阻止した。イスラム組織ハマスに対し、アメリカが提示した停戦延長案への同意を要求している。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の事務所は、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東特使が提案した、6週間の停戦延長を、ハマスが拒否していると主張している。これには、イスラム教の「ラマダン(断食月)」とユダヤ教の「過越祭」の期間を含む。

ネタニヤフ首相の事務所は声明で、「人質取引の第1段階が終了し、イスラエルが同意したウィトコフ案をハマスが受け入れないことを踏まえ、ネタニヤフ首相は今朝からガザ地区への全ての物資と供給品の搬入を停止させることを決定した」と説明。

「イスラエルは人質の解放なしに停戦を認めない。ハマスが拒否を続けるなら、さらなる影響が生じるだろう」とした。

これに対しハマスの報道官は、ガザへの物資の遮断は「安っぽい脅迫」だと非難。停戦合意への「クーデター」だとし、仲介者に介入を求めた。

「ネタニヤフのガザへの支援停止の決定はまたも、イスラエル占領の醜い顔を示している。(中略)国際社会は、我々の人々を飢えさせることをやめるようイスラエル政府に圧力をかけるべきだ」

援助機関は、2日の朝に援助トラックが1台もガザに入ることを許可されなかったと認めた。

世界食糧計画(WFP)のアントワーヌ・ルナール氏はBBCに対し、「人道支援はガザに継続的に届けられる必要がある。これは非常に重要だ。我々は全ての関係者に解決策を見つけるよう呼びかけている」と述べた。

停戦が1月中旬に合意されて以来、毎週数千台のトラックがガザ地区に入っていた。

ただし、援助機関は物資を備蓄しているため、イスラエルの決定によって民間人に即時に危険が及ぶことはないという。

イスラエルとハマスの仲介を担っているエジプトは、以前に合意された停戦合意の完全な履行を求めている。

エジプトの外相は、2月25日に行われたアラブ首脳会議で、住民を移動させることなくガザを再建する計画を提示すると述べた。

停戦合意の行方は

エジプト、カタール、アメリカのジョー・バイデン前政権が仲介し、1月19日に発効した停戦合意の第1段階は、3月1日に終了した。

第1段階では、約1900人のパレスチナ人の受刑者や収監者の釈放と引き換えに、33人のイスラエル人と5人のタイ人の人質が解放された。

第2段階では、恒久的な停戦、残りの生存者全員の解放、そしてイスラエル軍のガザからの撤退が予定されている。数週間前に交渉が開始される予定だったにもかかわらず、ほとんど進展していない。

第3段階では、残りの死亡した人質の遺体の返還と、ガザの再建が予定されている。再建には数年かかると見込まれている。

ハマスは2月28日の時点で、仲介者らから第2段階が今後実施される保証がされない限り、第1段階の延長には同意しないと述べている。

ウィトコフ氏は自らの案を公表していない。イスラエルによると同案では、ガザ地区で今もハマスに拘束されている人質の半数が、この延長期間の初日に解放される予定。これには、生存者と死者の両方が含まれる。

また、イスラエルが第2段階の交渉が失敗したと判断した場合、戦闘を再開することができるとされている。

イスラエルは、ウィトコフ氏が戦争終結の条件をめぐるイスラエルとハマスの間の違いを埋めるために、より多くの時間が必要だと確信し、一時的な延長を提案したと述べている。

現在、生存している人質は24人とされ、さらに39人が死亡していると推定されている。

ハマスは2023年10月7日にイスラエルに対して前例のない攻撃を行い、約1200人を殺害し、251人を人質に取った。

イスラエルはこれを受けて空と地上の作戦を展開し、ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、15カ月にわたる戦闘の間に少なくとも4万8365人が殺された。

2日にはガザの医療関係者が、イスラエルの攻撃で4人が殺害されたと発表した。イスラエル軍は、北部で爆発物を設置していた人々を攻撃したと述べた。

(英語記事 Israel blocks entry of all humanitarian aid into Gaza

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4g7rzdzx00o


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