2025年3月23日(日)

BBC News

2025年3月4日

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が2日、ロシアとの戦争を終結させる合意は「とても遠い」と発言した。アメリカのドナルド・トランプ大統領は3日、これに猛反発した。

こうした流れの中で、ホワイトハウスは3日夜、ウクライナへの支援を一時停止する意向を示した。BBCが提携する米CBSが報じた。

ゼレンスキー氏は2日、ロンドンで開かれた欧州首脳会合に出席。終了後の同日夜、ウクライナとロシアの戦争を終結させるための合意について、「まだとても、とても遠い」と述べた。

同時に、トランプ氏との関係が悪化している中でも、アメリカがウクライナを支援し続けることは期待していると発言。

「ウクライナはアメリカとの十分に強力なパートナーシップを築いていると、私は信じている」と話した。

これに対しトランプ氏は3日、自身のソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルでゼレンスキー氏について、和平を望んでいないと非難。同氏が和平交渉の邪魔になっているとの見解を改めて示し、こう続けた。

「ゼレンスキーがしかねない最悪の発言だ。アメリカはこれ以上我慢しない! 私が言っていたとおり、アメリカの後ろ盾がある限り、この男は和平を望んでいない」

トランプ氏はまた、欧州首脳会合についてとみられる批評も展開。「ロシアに対して強さを誇示するという意味では、おそらく素晴らしい声明ではない。みんないったい何を考えているのか?」と書いた。

この会合では、欧州首脳らがウクライナでの和平に向けた取り組みなどを協議。ロシアとの和平合意が成立した場合にウクライナの防衛を保証する、4項目からなる計画について合意した

再びゼレンスキー氏に感謝を要求

トランプ氏は3日の記者会見でも、ウクライナがこの3年間でアメリカから受けた支援に対し、ゼレンスキー氏は「もっと感謝すべきだ」との考えを繰り返した。

2月28日のホワイトハウスでの首脳会談では、トランプ氏とJ・D・ヴァンス副大統領がそろってゼレンスキー氏に対し、感謝の気持ちが欠けているとして怒りをぶつけた。取材中の記者団を前に、ヴァンス氏が「ありがとうと言えばいいだろう」とゼレンスキー氏に求める場面もあった。

こうした激しいやりとりによって、ウクライナのレアアース(希土類鉱物)の利用をアメリカに認める取引は不成立に終わった。

トランプ氏は3日の記者会見で、この取引が消滅したとは考えていないと述べた。そして、4日に最新情報を提供すると付け加えた。

ロンドンでの欧州首脳会合の後、イギリスとフランスは、ウクライナを守り、和平合意後にロシアが再び侵攻しないようにするためとして、ヨーロッパによる「有志連合」を提案した。

キア・スターマー英首相は、ウクライナに地上部隊と航空機を派遣するという案について、一定の支持を得ていると述べた。ただ、各国が国内で協議すべきことだとした。

北欧諸国は、アメリカの支持があるなら、この案に前向きだと示唆した。

アメリカはトランプ氏の下で、ウクライナでの戦争をめぐって方針を一転させている。

トランプ氏は戦争を終わらせたいと公言しており、2月にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と長時間、電話で協議した。米ロ高官らは、ウクライナを除外して、和平に向けた協議を進めている

トランプ氏は、プーチン氏を信頼していると述べ、ゼレンスキー氏については独裁者だと非難。戦争はロシアではなくウクライナが始めたとも発言し、西側同盟国を困惑させている。

こうしたなか、米CBSは3日、ホワイトハウス関係者が「アメリカの支援が確実に解決に貢献するよう、私たちは支援を一時停止し、見直している」と話したと伝えた。

支援停止を最初に報じた米ブルームバーグによると、ウクライナに現在ないすべてのアメリカ軍装備品や、ポーランドを経由中、およびポーランドの基地にある武器も含めて、すべての軍事物資の供与を一時停止するという。

(英語記事 Trump condemns Zelensky remarks that war's end is 'far away'US pauses military aid to Ukraine, says White House official

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c70e60pj6ppo


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