
ドナルド・トランプ米大統領は3日、カナダとメキシコからアメリカに輸入される製品に対して25%の関税を課すと発表した。回避のための合意に達する時間がなくなったと述べた。
トランプ大統領は今年初めからこの関税を予告していた。大統領はホワイトハウスで、「メキシコやカナダにはもう余地がない」と述べた。「関税はすべて設定されており、明日(4日)発効する」と述べた。
さらに、中国からの輸入品にも10%の追加関税が適用される見込み。これにより、アメリカの主要な貿易相手3カ国がすべて、数週間前よりも大幅に高い貿易障壁に直面することになる。
トランプ大統領の発言を受け、アメリカの主要な株価指数は下落。優良株で構成するダウ平均株価は3日、1.4%下落して取引を終えた。S&P500種は1.75%、ハイテク株中心のナスダック総合指数は2.6%、それぞれ落ち込んだ。
アジアの株式市場にもこの影響はおよび、日経平均株価は1.82%安の3万7096円51銭で4日午前の取引を終えた。
また、香港ハンセン指数(HSI)、上海総合指数(SSE)、韓国総合株価指数(KOSPI)も同日午前、それぞれ下落した。
カナダのメラニー・ジョリー外相は3日の記者会見で、「トランプ大統領が関税を課すなら、我々も準備ができている」と述べた。
カナダ政府は、アメリカからの輸入品に対して1550億ドル相当(約23兆円)の報復関税を課す計画。うち300億ドル分はパスタ、衣類、香水といった日用品に対するもので、即座に課す用意が整っているという。
ジョリー外相は、カナダは貿易戦争を望んでいないが、アメリカが始めた場合には反撃すると強調した。
また、関税は「我々にとって存亡の危機」であり、「カナダの数千の雇用が危機にひんしている」と述べた。
メキシコと中国も、アメリカの関税に対して報復を表明しており、貿易戦争の拡大の可能性が高まっている。
トランプ大統領はカナダとメキシコ、中国に対し、合成オピオイド(麻薬性鎮痛剤)の一種フェンタニルや不法移民の容認できない流入に対する措置だとして、関税を課すと脅している。
すべての関税は2月に発効する予定だったが、アメリカはカナダとメキシコに対して1カ月の猶予を与えることに合意。両隣国を潜在的に有害な貿易戦争の瀬戸際から引き戻した。
しかし中国に対しては、2月に10%の追加関税を強行した。これにより中国からの製品の関税は少なくとも20%に達した。
トランプ大統領は長い間、関税が貿易不均衡を是正し、アメリカの製造業を保護するための有用な手段だと主張してきた。
しかし、特に企業が何十年にもわたって自由貿易を享受してきた北米においては、こうした措置がアメリカ経済に損害を与えるリスクがあるという懸念をほとんど無視している。
トランプ氏は、「カナダやメキシコがしなければならないのは、率直に言って、アメリカ国内に自動車工場やその他の施設を建設することだ。そうすれば関税はかからない」と付け加えた。
カナダとメキシコの政府関係者はこのところ、ワシントンで関税を回避するための交渉を行っていた。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は3日、「メキシコは尊重されなければならない」と述べた。トランプ大統領にメッセージを送ったとみられる。
「協力と調整はするが、従属はしない」とシェインバウム氏は述べた。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、2日に英ロンドンで開催されたウクライナに関する首脳会談の場で、カナダはアメリカにおける違法フェンタニルの供給源として「問題ではない」と述べた。
アメリカのデータによると、アメリカで押収された違法フェンタニルのうち、カナダから来たとされるものはわずか1%に過ぎない。
カナダ国境サービス庁(CBSA)は、アメリカへのフェンタニルの流入を阻止するための取り組みを強化していると発表した。
カナダのアニタ・アナンド国内貿易相は、最近ワシントンで関係者と会談し、週末に対応策を講じると述べた。
アナンド氏は、「我々はかじをしっかりと握っている。どんな事態にも備えているが、常に我が国の経済を守る」とカナダのCBCニュースに語った。
中国の国営紙・環球時報は、中国政府が対抗措置を準備しており、アメリカの農産物や食品を標的にする可能性が高いと報じた。
トランプ大統領はまた、すべての鉄鋼およびアルミニウムの輸入に対して25%の関税を課すと発表しており、これは3月12日に発効する予定だ。
さらに、特定の国に対して「相互」関税を課すと脅しており、欧州連合(EU)に対しても25%の関税を課すと述べている。
(英語記事 Markets sink as Trump confirms tariffs on Canada, Mexico and China)