
香港を拠点とするCKハチソン・ホールディングスは4日、中米パナマが全面的な管理権を得ているパナマ運河の入り口にある二つの港について、株式の大半を米投資大手ブラックロックが率いる投資家連合に売却することで合意したと発表した。
アメリカのドナルド・トランプ大統領はこの数週間、パナマ運河が中国の支配下にあるとし、アメリカがこの主要航路の管理権を獲得すべきだと主張していた。
CKハチソン・ホールディングスは子会社を通じて、運河の大西洋側と太平洋側の入り口にある港を運営している。
同社は4日、二つの港を含む運営権を、総額228億ドル(約3兆4100億円)で売却すると発表した。
香港の大富豪、李嘉誠氏が設立したCKハチソン・ホールディングスは、中国の国有企業ではない。しかし、香港を拠点としているため、中国の金融法のもとで運営されている。1997年からパナマ運河の二つの港を運営している。
今回の合意には、パナマ運河の2カ所を含む、世界23カ国にある43カ所の港湾の運営権が含まれる。パナマ運河の港については、パナマ政府の承認が必要となる。
全長約82キロメートルのパナマ運河は、中央アメリカの一部を横断して大西洋と太平洋を結ぶ交通の要衝。
アメリカは同運河を建設後、1977年まで運河地帯の管理権を維持していた。その後、共同での管理期間を経て、1999年にパナマが全面的に管理するようになった。
自動車や天然ガスなどを運ぶコンテナ船や軍用艦など、年間最大1万4000隻が通航する。
トランプ氏は、運河と運河地帯の管理権をアメリカが取り戻すべきだと考えており、中国の影響は国家安全保障上の脅威だと主張したり、運河建設の初期段階にアメリカが投資したことを理由に、管理権を取り戻すのは正当だと訴えたりしている。また、運河を通航する米船舶が高額な通航料を請求されているとも主張している。
先月にパナマを訪問したマルコ・ルビオ米国務長官は、運河に中国の「影響と支配」が及んでいるとし、これを「即時に変更」するようパナマ側に求めた。
パナマは米政府の主張を一蹴。ホセ・ラウル・ムリノ大統領は、運河は「現在も、そしてこれからも」パナマの手中にあり続けるとしている。
CKハチソンの共同マネージング・ディレクター、フランク・シクスト氏は、「この取引は純粋に商業的なもので、パナマ運河の港湾をめぐる最近の政治的な報道とは全く無関係だと強調しておきたい」と、声明で述べた。
ブラックロックは世界最大級の資産運用会社。同社率いる投資家連合にはスイス企業ターミナル・インヴェストメントも含まれる。
(英語記事 Hong Kong billionaire to sell Panama Canal ports to US firm)