2025年3月23日(日)

BBC News

2025年3月7日

アメリカのトランプ大統領

アメリカのドナルド・トランプ大統領は6日、カナダとメキシコに対する関税措置に絡み、適用を除外する製品を大幅に増やす命令に署名した。

アメリカが2大貿易相手国からの輸入品に対する課税を後戻りさせるのは、この2日間で2度目。5日には、前日発動した25%の関税の対象から自動車メーカーを一時的に除外すると発表した。

今回、関税の対象から外れるのは、北米自由貿易協定「アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の下で出荷される製品。この協定は、トランプ氏が大統領1期目に署名した。

ホワイトハウス関係者によると、メキシコからの輸入品の約50%、カナダからの輸入品の約62%は、依然として関税の対象になり得る。こうした比率は、企業が対応を変えることで変化する可能性があるという。

トランプ氏はメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領と電話で協議した後、4月2日まで関税の適用除外を認めることに同意したと述べた。

シェインバウム氏は6日、トランプ氏と「素晴らしく、敬意ある」電話をしたとし、トランプ氏に感謝を表明した。

一方カナダの財務相は、米国製品に対する報復関税の第2弾を延期すると発表した。

カナダのジャスティン・トルドー首相は6日朝、トランプ氏と電話で、関税について「色彩豊かな」会話をしたと述べた。

アメリカとカナダのメディアによると、この電話協議は5日にあり、激しいやり取りの中で、トランプ氏は下品な言葉を一度ならず使ったという。

トルドー氏は記者団に、両国間の貿易戦争は、一部で関税の救済措置があったものの、当面は続くとの見通しを示した。そして、「私たちの目標は、これらの関税、すべての関税の撤廃であることに変わりない」と述べた。

カナダは報復措置の第1弾をすでに実施している。300億カナダドル(約3兆1000億円)相当の米国製品を対象としている。

ホワイトハウスはまた、他の関税に関する計画を推進し、4月2日に発動するとした。この日に、世界各国に対する「相互」関税について勧告を発表するとしている。

トランプ関税の影響

貿易戦争の緊張は金融市場を動揺させ、経済の混乱への懸念を高めている。米主要株価指数は6日午後、軒並み下落し、米大企業500社を対象とするS&P500種は1.8%近く下落した。

しかしトランプ氏は、この日の命令に署名する際、「市場とは何の関係もない」と述べ、株式市場に対する懸念から関税措置を後退させるわけではないとした。

カナダで最も人口の多いオンタリオ州のダグ・フォード州首相は、「一部の関税の停止には何の意味もない」と述べた。

アメリカ、カナダ、メキシコの国境では、毎日大量の商品が通過している。これら3カ国の経済は、何十年間もの自由貿易によって深く統合されている。

アメリカでは、トランプ氏の関税政策による混乱の影響がすでに出始めている。1月には、関税引き上げへの懸念から輸入が急増。商務省によると、アメリカの貿易赤字は34%増の1300億ドル(約19兆円)を超えた。

(英語記事 Trump expands exemptions from Canada and Mexico tariffs

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cjevyjp9n5qo


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