2025年3月26日(水)

BBC News

2025年3月7日

イギリスのスターマー首相

イギリスのキア・スターマー首相が打ち出した、欧州によるウクライナ支援の「有志連合」について、約20カ国が参加への関心を示していると、英政府関係者らが明らかにした。

参加に関心を示しているのは、欧州と英連邦の国々が中心だという。すべての国が軍隊を派遣するわけではなく、他の支援を提供する意向の国もあるという。

英政府関係者らは、まだ「初期段階」としながらも、「有志連合」への参加に関心が示されたのは「非常に前向きな一歩」だと歓迎している。

「有志連合」の計画は、イギリスとフランスが主導している。2日にロンドンで開かれた、ヨーロッパを中心とした18の国・機関のトップの会合でスターマー氏が発表した。ウクライナでの停戦が合意された場合に、その維持に努めるというもの。

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、この動きを「許されない」と批判。「NATO(北大西洋条約機構)加盟国がロシアに対する戦争に直接、公式に、公然と関わる」ことになると述べている。

ウクライナでの戦争をめぐっては、アメリカがウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領をロシアとの交渉の席に着かせるため、ウクライナへの軍事支援と情報共有を一時停止している。ウクライナは現在、アメリカとの関係修復を試みている。

スターマー氏は6日、イングランド北西部マージーサイドにある防衛関連企業を訪れた際、ウクライナとロシアの「合意を待つしかない」と考えるのは「大きな間違い」だと発言。「合意に至るのかわからないが、もし至るなら、その合意を守る」のは重要だとし、それによりウクライナが「最も強い立場にある」ことを保証できるとした。

同時にスターマー氏は、ウクライナの防衛計画は「アメリカと連携して」作られるべきだと強調。「アメリカや欧州のパートナーたちと協力する能力こそ、これまで80年間、平和を維持してきた」と述べた。

ウクライナに最先端ドローンを供給へ

イギリスとフランスは、西側各国が支援をしながら、ウクライナの「空と海とエネルギーインフラ」で1カ月の停戦が実施されるよう提案している。ロシアはこれを拒否している。

イギリスは2日、6億ポンド(約3030億円)を拠出し、ウクライナにミサイルを供与すると発表。その後、米防衛関連企業アンドゥリルと、ウクライナに新型の攻撃用ドローン(無人機)を提供する契約を結んだ。

イギリスのジョン・ヒーリー国防相は6日、アメリカのピート・ヘグセス国防長官と米首都ワシントンで会談。イギリスが、アメリカの欧州に対する防衛費の増額の要求を受けて、それに応えたと述べた。

一方でヘグセス氏は、イギリスを「重要な」パートナーだとし、NATOにおける欧州のリーダーシップは「欧州大陸における防衛の未来」だと述べた。

これよりも先、英国防省は、ウクライナのための国際基金が支援する約3000万ポンド(約57億円)相当の安全保障に関する契約について明らかにした。

この契約では、ウクライナに最先端のドローン(無人機)システム「アルティウス600M」と「アルティウス700M」を供給する。それらは、標的を攻撃する前に、進入した地域を監視するよう設計されており、黒海におけるロシアの侵略行為に対処するのに役立つとしている。

明確かつ現存の危険

ブリュッセルでは6日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が、緊急の防衛サミット(首脳会議)を開催した。アメリカのドナルド・トランプ大統領が、欧州の安全保障に対する支援を減らすと見込まれているのを受けたもの。

フォン・デア・ライエン氏は、8000億ユーロ(約128兆円)規模の防衛計画を提案。欧州が「分水嶺の瞬間」を迎えているとし、「欧州は明確かつ現存の危険に直面しており、ウクライナが自力で自国を守り、永続的で公正な平和を推進しなければならないように、欧州も自らを守り、自衛できなくてはならない」と述べた。

欧州連合(EU)の首脳らはこの会議でゼレンスキー大統領と会談。ゼレンスキー氏は、各国の支援に感謝し、「自分たちが独りではでないことにとても感謝している。これは単なる言葉ではなく、実感していることだ」と述べた。

こうしたなか、トルコは6日、平和維持活動の一翼を担う可能性を示唆した。アイルランドのミホル・マーティン首相も、同国軍が平和維持活動に参加する可能性はあると表明。ただし、「抑止力」として派遣されることはないと述べた。

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相も、ウクライナに平和維持軍を派遣することに「前向き」な姿勢を示した。

一方、ロシアは同日、ウクライナでの一時停戦への呼びかけを拒否。外務省のマリア・ザハロワ報道官は、「最終的な解決の確固たる合意が必要だ。それなしには、一時的な停戦は全く受け入れられない」と記者団に述べた。

(英語記事 About 20 countries could join Ukraine coalition, UK says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cz03yv4eg57o


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