2025年3月26日(水)

BBC News

2025年3月8日

シリア暫定政府の治安部隊

シリア暫定政府の治安部隊がイスラム教シーア派の分派アラウィ派に属する数十人を処刑したと、戦争監視団体が報告した。

イギリスに拠点を置くシリア人権監視団(SOHR)によると、西部ラタキア県での「現場処刑」により、民間人162人が殺害されたという。アラウィ派は、バッシャール・アル=アサド前大統領の支持基盤だった。

暫定政府の内務省筋は、国営通信社SANAに対し、沿岸地域で「個別の違反」が発生したと述べ、それを止めると約束した。

BBCニュースは、これらの殺害が暫定政府の部隊によるものという主張を検証・確認できていない。

SOHRはAFP通信に対し、犠牲者の中には13人の女性と5人の子供が含まれていると述べている。

アサド派「残党」に対する作戦を発表

こうしたなか、昨年12月にアサド前大統領を追放したシリアの暫定政権は、アサド前大統領の故郷カルダハで軍事作戦を開始すると発表した。

ロイター通信によると、アフメド・アル・シャラア暫定大統領は、追放されたアサド政権の「残党」を追跡し、裁判にかけると述べた。

シリアでは7日以降、暫定政府軍とアサド氏に忠誠を誓う戦闘員との間で衝突が発生し、70人以上が死亡している。騒乱が起きている沿岸地域はアラウィ派の中心地で、同派に属するアサド家の拠点でもある。

ホムス、ラタキア、タルトゥースの各都市で戦闘が発生し、夜間外出禁止令が発令された。ラタキア県の知事は、県全体で電力が遮断されたと発表した。

BBCヴェリファイ(検証チーム)は、ラタキアで車の後ろにつながれた遺体が引きずられる様子を映した2本の動画を検証・確認した。

一連の暴力による推定犠牲者数はさまざまで、BBCは独自に確認できていない。

住民は、自分たちが宗派間の暴力の標的にされていると話す。アラウィ派の女性はBBCアラビア語に対し、海岸沿いだろうと首都だろうと、多くのシリア人が「おびえている」と話した。

この女性はさらに、「現在の扇動のせいで、誰もが怖がっている」と述べ、自分たちが「スケープゴートにされる」ことを恐れているとも話した。

シリア人活動家の男性はBBC番組「ニューズアワー」に、この騒乱によってアラウィ派のコミュニティーは「震えあがっている」と語った。

報復を恐れて名前を明かさなかったこの活動家は、「アラウィ派の人々はとても怖がっている。ショック状態にある」、「だれもどうしたらいいのかわからない。助けてくれる政府や国家が存在しないからだ」と話した。

シリアの人口の大多数はスンニ派で、アラウィ派は人口約10%を占めている。

ゲイル・ペデルセン国連シリア担当特使は声明で、衝突と殺害の報告を「深く懸念している」と述べた。

ペデルセン氏はすべての当事者に対し行動の自重を求め、「緊張をさらに高めて紛争をエスカレートさせるような、影響を受けたコミュニティーの苦しみを悪化させて、シリアを不安定化させて、信頼できる包括的な政治移行を危険にさらす、そのような行動を控えるよう」呼びかけた。

トルコとロシアは、昨年12月のアサド前大統領の追放以来、最悪の流血が地域全体の安定を脅かしていると警告している。ドイツは今回の衝突発生後、シリアに対し「暴力の連鎖」を避けるよう促した。

(英語記事 Syrian security forces accused of executing dozens of Alawites

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c14j7r8l8nxo


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