2025年3月23日(日)

BBC News

2025年3月10日

がれきのそばを歩く人たち

イスラエルは9日、パレスチナ・ガザ地区への電力供給について全面停止を指示した。イスラム組織ハマスに圧力をかけ、イスラエル人の人質を解放させるためとしている。

イスラエルのエリ・コーヘン・エネルギー相はビデオ声明で、「ガザ地区への電力供給を直ちに停止する命令に署名したところだ」と説明。

「人質を取り戻し、(戦争が終わった)翌日にガザからハマスが確実にいなくなるよう、あらゆる手段を使う」と述べた。

イスラエルは1週間前に、ガザ地区への支援物資の搬入をすべて止めた。同地区には200万人以上が住んでいる。支援物資が供給されなければ人質にも影響が及ぶと、ハマスは警告している。

イスラエルは今回の戦争で以前も、ガザへの主要な電力供給の大部分を止めたことがある。

電力供給の停止は、清潔な飲料水の供給に不可欠な、海水淡水化の設備に大きな影響を及ぼすとみられる。

イスラエル政府は、給水停止も今後の選択肢として除外していないとしている。

停戦の行方

イスラエルとハマスの間の不安定な停戦をめぐっては、延長のための協議が10日にカタールで再開される見通し。停戦合意の第1段階は、今月1日に期限を迎えている

イスラエルは、第1段階の延長をハマスが受け入れるよう望んでいる。

一方のハマスは、第2段階の交渉を始めたい意向だ。同段階では、ガザに残された人質の解放や、イスラエル軍のガザ撤退、戦争の永続的な終結が予定されている。

ハマスは9日、エジプトの仲介者らとの間で続けていた最新の停戦交渉を、自らの立場を変えることなく終えたと発表。停戦の第2段階を直ちに開始するよう求めた。

国連が物資供給の停止を批判

ガザの沿岸地域とそのインフラは、今回の戦争で大部分が破壊されている。電力の一部は、発電機やソーラーパネルを使って供給されている。

イスラエルは、ガザへの供給を停止させていることで批判されている。

国連の人権高等弁務官事務所(OHCHR)は7日、「民間人の生活必需品の搬入を認めないことは、集団的懲罰に当たる可能性がある」とした。

ハマスは、パレスチナ人による選挙が実施するまで、テクノクラート(専門知識をもつ官僚ら)からなる独立委員会がガザを運営する案を、あらためて支持した。

この案では独立委員会は、占領下のヨルダン川西岸に本部を置くパレスチナ自治政府(PA)の傘下に位置づけられる。

一方のイスラエルは、ガザでPAがどのような役割を果たすことも認めないとしている。しかし、戦後の統治についてイスラエルは代替案を示していない。

ハマスは2023年10月にイスラエルを襲撃し、民間人を中心に約1200人を殺害、251人を人質に取った。大半は停戦合意などの取り決めで解放されたが、ハマスはまだ人質24人と、35人の遺体を保持しているとみられている。

ハマスが運営するガザ保健当局は、イスラエルの軍事攻撃により、ガザで4万8000人以上のパレスチナ人が殺害されたとしている。その多くは女性と子どもだという。

(英語記事 Israel to cut off electricity supply to Gaza, minister says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx2rpgdn0j7o


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