
イーロン・マスク氏が所有するソーシャルメディア・プラットフォーム「X」(旧ツイッター)は10日、大規模な障害に見舞われ、アメリカやイギリス、日本など世界各地で多くの利用者が影響を受けた。
プラットフォーム監視会社ダウンディテクターは同日、「X」に影響する技術的問題についてアメリカのユーザーから報告が数万件あったと発表した。
イギリスでは10日午前にいったん利用者からの障害報告が急増して間もなく収まったものの、同日午後2時(日本時間同11時)の少し前には8000件以上の報告があった。それから数時間、一部の利用者にとって接続障害が続いた。
この接続障害中に「X」のアプリやサイト上で内容を更新しようとした人の多くは、読み込み中のアイコンが表示され続ける現象を経験した。
マスク氏は障害について、「ウクライナ地域」で発生した「大規模なサイバー攻撃」が原因だと主張したものの、その根拠は示さなかった。国家やそれに関する者による攻撃と認識しているのかにも触れなかった。マスク氏はかねて、ウクライナやウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を重ねて批判してきた。
マスク氏はこれに先立ちこの障害についてXで、「大規模で組織化されたグループや国が関与している」と投稿していた。
BBCは、在ワシントンのウクライナ大使館にコメントを求めている。
マスク氏は米FOXビジネスに対して、 「何が起こったのか正確には分からないが、Xシステムを停止させようとする、巨大なサイバー攻撃が、ウクライナ発の(インターネット)アドレスからあった」と述べた。
ウェブサービスの接続性を監視する英企業ネットブロックスのアルプ・トーカー代表は、自社の測定基準によれば、今回の障害がサイバー攻撃に関係している可能性は高いとBBCに話した。
「今回の事象は、プラットフォームの設定やコーディングのエラーではなく、過去のサービス拒否攻撃で目にしたものと合致する」と、トーカー氏はBBCに述べた。
トーカー氏によると、ネットブロックスは10日に6時間以上に及ぶ大規模障害を数回把握。「それぞれが世界的な影響を及ぼすもの」だったという。
「X/ツイッターが停止した時間の長さという意味で、私たちがこれまで追跡した中でも今回の事象は特に長い部類に入る。そして、Xのインフラを大規模に標的としたサービス拒否攻撃のパターンに合致する」と、トーカー氏は説明した。
分散型サービス拒否(DDoS)攻撃とは、ウェブサイトやサーバーに対して大量のアクセスやデータを送付するサイバー攻撃。
マスク氏は以前、XがDDoS攻撃を受けていると主張していたが、それは確認されなかった。
これとは別に、マスク氏は10日、アリゾナ州選出のマーク・ケリー上院議員(民主党)が週末にウクライナを訪問し、「ウクライナ国民を見捨てることはできないと証明された」とXに投稿したのに対して、「裏切者」と投稿した。
これに対してケリー議員は、「イーロン、自由を守ることこそ、アメリカを偉大にして私たちの安全を守ってくれる基本理念なのだと、あなたが理解していないなら、それを理解している我々に任せた方がいいのではないか」と返信した。
(英語記事 Thousands report outages of Musk's X platform in US and UK)