2025年3月20日(木)

BBC News

2025年3月13日

アメリカのトランプ大統領

アメリカのドナルド・トランプ大統領は12日、鉄鋼とアルミニウムの関税措置を発動した。これを受けて、欧州連合(EU)とカナダが報復措置を発表すると、トランプ氏はさらに関税をかける考えを表明した。

トランプ氏はEUとカナダの報復関税について、「もちろん」対抗すると発言。「向こうが私たちに課すものは、私たちも向こうに課す」と述べた。

トランプ氏は来月、世界中の国に「相互」関税を課すとしており、その主張を繰り返した。

この日のトランプ氏の脅しで、金融市場に動揺を生んでいる貿易戦争は、状況がさらに悪化した。アメリカを含む世界各国の経済や消費者への影響が懸念されている。

トランプ氏はこの日、鉄鋼とアルミニウムに対して予定どおり、25%の一律関税を課すとした。これまで、一部の国からの輸入については免除していたが、それを打ち切った。

カナダと欧州の首脳らは、鉄鋼とアルミニウムに対する関税は不当だとし、さまざまな米国製品に関税をかけるとして反撃している。

一方、アメリカに金属を輸出しているイギリス、オーストラリア、メキシコ、ブラジルなどの国々は、即時の報復措置は取っていない。

「ビジネスに悪い、消費者にはもっと悪い」

カナダは、鉄鋼、コンピューター、スポーツ用品など、約300億カナダドル(約3兆円)相当の米国製品に13日から25%の課税を実施すると発表した。

マーク・カーニー次期首相は、「カナダの主権が尊重される」のであれば、トランプ氏と新たな貿易協定を交渉する用意があると述べた。

一方EUは、ボート、バーボン、オートバイなど、最大260億ユーロ(約4兆2000億円)相当の米国製品に対する関税率を4月1日に引き上げると発表した。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、この対抗措置は「強力だが適切」だと主張。同時に、EUは「有意義な対話に参加する用意がある」と付け加えた。

同委員長はまた、「関税は税金だ。ビジネスにとって悪いものであり、消費者にとってはもっと悪いものだ」と警告。経済的な混乱が雇用を脅かし、物価を上昇させるとし、「誰もそれを望んでいない。EUもアメリカも、どちらもだ」と述べた。

EUは、今回のアメリカの関税について、影響は対米輸出全体の約5%に及ぶと見積もっている。一方、カナダにとっては、鉄鋼とアルミニウムの輸出の約90%がアメリカに向けたものであるため、影響は大きい。

米株式市場は、2日間の急落を経て12日、さまざまな反応がみられた。ダウ平均は0.2%安、S&P500種は0.5%高、ナスダックは1.2%高で取引を終えた。

(英語記事 Trade war escalates as Trump pledges more tariffs

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c8d401ynpq6o


新着記事

»もっと見る