2025年4月22日(火)

BBC News

2025年3月28日

ピート・ヘグセス米国防長官

米政府高官らがイエメン空爆の機密情報を民間通信アプリのチャットでジャーナリストと共有していたとされる問題で、連邦判事は27日、チャットに加わっていた高官らに、メッセージの保存を命じた。

首都ワシントン連邦地裁のジェイムズ・ボアズバーグ判事は、ドナルド・トランプ大統領の国家安全保障チームのメンバーらに、通信アプリ「シグナル」で3月11~15日に送受信されたすべてのメッセージを保存するよう命じた。

この命令は、超党派の監視団体「アメリカン・オーバーサイト」が起こした訴訟を受けたもの。同団体は、高官らの「シグナル」の使用が連邦記録法違反に当たると主張している。

「アメリカン・オーバーサイト」は訴訟で、高官らが公式の通信を政府のシステムに転送することなく、「民間の暗号化され、自動削除されるプラットフォーム」で行うことは、連邦記録法に違反すると主張している。

そして、「裁判所の措置がなければ、それらの情報、そして同種の多くの情報が、自動的に破棄されるか、永遠に失われることになる」としている。

これに対し、ホワイトハウスのアナ・ケリー報道官は、「トランプ政権はこれまでも、これからも、記録保持のすべての法律を順守する」とする声明を出した。

今回のチャットをめぐる問題について最初に報じた米誌アトランティックは、チャットのメッセージは一定時間が過ぎれば消えるように設定されていると指摘。そのため、焦点になっているメッセージの消失が懸念されている。

ボアズバーグ判事はこの日の審理で、今回の命令はメッセージが消えないようにするためのものであり、不正行為を探るためのものではないと言明した。

アトランティック誌のジェフリー・ゴールドバーグ編集長は24日、J・D・ヴァンス副大統領やマイク・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ら政府高官で構成していたとみられる「シグナル」のチャットグループに、自分も意図せず追加されたと報じた。

そこでは、目前に迫っていたイエメンの反政府勢力フーシ派に対する空爆が議論され、ピート・ヘグセス国防長官と思われるアカウントが、攻撃の詳細や武器の計画を投稿していたとされる空爆は3月15日に実施された

国家安全保障会議はその後、このチャットは高官らが参加していた実際のものだと認めた。

ボアズバーグ判事は、トランプ政権が今月中旬、ヴェネズエラ国民をエルサルバドルに国外追放するため1798年制定の敵性外国人法を適用したことに対し、異議を唱える訴訟も担当している。

この訴訟は、移民を直ちに米国に戻し、必要であれば移送機の引き返しをさせるという判事の命令に、トランプ政権が違反したとの非難を巻き起こした。ボアズバーグ判事は命令をまず口頭で出し、その後に文書によって発出した。

政府は判事の命令に違反していないと主張するとともに、判事への批判を強めている。トランプ氏は、ボアズバーグ判事は弾劾されるべきだと示唆し、連邦最高裁のジョン・ロバーツ長官から異例の非難を浴びた

ボアズバーグ判事はこうした事情について、「シグナル」のチャットをめぐるこの日の審理で触れ、自分がこの訴訟を担当するのは無作為で選ばれた結果だと述べた。

(英語記事 Senior Trump officials ordered to preserve Signal group chat

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cevxvggmk0do


新着記事

»もっと見る