
ファイサル・イスラム経済編集長
ドナルド・トランプ米大統領が2 日に発表した関税が世界経済に与える影響は非常に大きい。
その影響は、アメリカの関税収入が100年ぶりの水準に跳ね上がる様子を示すチャートの線で測定できる。これは、1930年代の強い保護主義の時期を超えるものだ。
ほかにも、特にアジアの株式市場の急落でも測定できる。
しかし真の尺度となるのは、長年の世界的な貿易手段の大幅な変化だろう。
その中心にあるのは、すべてのアメリカへの輸入品に対する10%の一律の関税で、これは4日夜に導入される。さらに、「最悪の違反者」の国々には、対米貿易で黒字を出していることに対する相互関税が課される。
アジア諸国に対する関税は非常に注目すべきもので、数千の企業や工場、さらには国全体のビジネスモデルを破壊する可能性がある。
世界最大の企業によって構築された一部のサプライチェーンは瞬時に崩壊するだろう。その不可避の影響は、こうした企業を確実に中国に向かわせることになる。
これは単なる大規模な交渉なのか? アメリカ政府は関税収入を、計画された減税のために利用すると主張しているようだ。迅速な調整の余地は限られているように見える。あるホワイトハウスの高官は率直に、「これは交渉ではなく、国家の緊急事態だ」と述べた。
この政策の目的は、アメリカの貿易赤字を「ゼロに戻す」ことだ。これは世界経済の完全な再構築を意味する。
しかし、工場の移転には数年かかるだろう。特に東アジアに対する30~40%の規模の関税は、衣料品やおもちゃ、電子機器の価格をはるかに素早く引き上げることになる。
今、問われているのは、世界がどのように対応するかだ。
欧米の一部の消費者には、衣料品や電子機器の安価な別ルートの貿易から利益を得る機会がある。内向きになった世界最大の経済圏の外では、他の大経済圏が、より緊密な貿易の統合を選ぶかもしれない。
米電気自動車(EV)テスラの販売不振が示すように、政府の対応が関係するのは、この話の一部だけでしかない。今や消費者も反撃できる時代になった。これは新しい形のソーシャルメディア貿易戦争かもしれない。
ヨーロッパは、世界中で愛されているアメリカ生まれの消費者ブランドを、買い続けないことを決定するかもしれない。
アメリカのテック大手によるソーシャルメディアサービスの独占が揺らぐ可能性もある。
そして米当局は、避けられないインフレ高騰に対抗するため、金利を引き上げる必要があるかもしれない。
混乱した世界貿易戦争は避けられないようだ。
(英語記事 Faisal Islam: This is the biggest change to global trade in 100 years)