2025年4月22日(火)

BBC News

2025年4月8日

榴(りゅう)弾砲を操作するウクライナ兵

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は7日夜、ウクライナ軍の部隊がロシア西部ベルゴロド州で活動していることを初めて公に認めた。

「我々は敵領の国境地帯で、作戦行動を続けている。これは全く正当なことだ。戦争は、それを始めたところに戻らなくてはならない」と大統領は述べた。

ゼレンスキー氏は、ロシア西部クルスク州にも触れ、作戦の「主な目的」はウクライナ東部スーミ州やハルキウ州の国境地帯を守り、特に東部ドネツク州に位置する長大な前線への「圧力を緩和する」ことだと述べた。ウクライナ軍は昨年8月にクルスク州に奇襲をかけ、一部を制圧したものの、ロシア軍はすでにそのほとんどを奪還している。

ゼレンスキー大統領は毎晩恒例のビデオ演説で、「クルスクとベルゴロドにいる」ウクライナ軍の様子を含め、前線の状況についてオレクサンドル・シルスキー総司令官から報告を受けたと述べた。 大統領は、ベルゴロド州に展開する第225突撃連隊など、ウクライナ防衛にあたる複数の軍部隊に感謝し、 「みんなよくやった!ウクライナのために戦っている一人一人を誇りに思う!」と述べた。

ゼレンスキー氏はそれ以上の詳細は明らかにしなかった。ベルゴロドにウクライナ軍が駐留していることを、同氏が明確に認めたのはこれが初めて。

ゼレンスキー大統領は 3月18日の時点で、ウクライナ軍がベルゴロド州にいることを間接的に認めていた。

ロシア軍は同日、ウクライナ軍がベルゴロド州西部に侵入しようとしたものの、撃退したと発表。これについて記者団に質問されたゼレンスキー氏は、「そこで作戦が行われている」と答えていた。

ロシアは、ウクライナ軍が国境を越えてデミドフカ村とプリレシエ村に入ろうとしたものの、これをすべて撃退したと発表していた。

しかし、数人のロシア軍事ブロガーは当時、ウクライナ国境から約2キロ離れたデミドフカそのもので戦闘が続いていると報告していた。

アメリカに拠点を置く戦争研究研究所(ISW)も、3月21日の最新情報で「ウクライナ軍が最近ベルゴロドに進軍した」と説明していた。

ISWは、「ロシアの軍事ブロガーは、ウクライナ軍が前進し、デミドフカとプリレシエ郊外で陣地を強化していると主張している」と報告しつつ、これは未確認の内容だとしていた。

ロシアの軍事ブロガーはこの2日間、ウクライナ軍がデミドフカ周辺から撤退していると報告していた。

ベルゴロドでのウクライナ軍の作戦行動は、クルスクに比べるとはるかに小規模だと考えられている。ウクライナ軍はクルスクではいったん、地方都市スジャを含む複数の村を占領した。

ゼレンスキー大統領と軍幹部は、クルスクに侵攻したことで、ロシアはドネツク州から部隊を移動せざるを得なくなったと繰り返し主張している。ドネツク州ではここ数カ月、ロシア軍はゆっくりながら着実に前進している。

ウクライナはまた、アメリカが推進している将来的な和平交渉において、自分たちが持つロシア領と、ロシアが占領しているウクライナ領の一部と交換しようとする可能性もある。

ウクライナと西側諸国では多くの戦争アナリストが、武器の補給が難しく戦死者を多く出した、ウクライナ軍によるロシア領侵攻について、軍事的メリットがあったのか疑問視している。

(英語記事 Zelensky confirms Ukraine troops active in Russia's Belgorod region

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/crkxnz5pvkyo


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