2025年4月22日(火)

BBC News

2025年4月8日

複数のペンギンが波間を泳いでいる

アメリカのハワード・ラトニック商務長官は7日、トランプ政権が相互関税の対象にペンギンやアザラシしか生息していない南極の島を含めたことを擁護した。

ラトニック長官はBBCがアメリカで提携するCBSに対し、オーストラリア領ハード島とマクドナルド諸島への関税は、「ばかげた抜け穴」をふさぎ、他国がこの島々を経由してアメリカに物品を輸出するのを防ぐためのものだと述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は2日、アメリカ製品に対する不公平な貿易障壁に対抗するとして、広範な「相互関税」を発表した。

対象のリストにオーストラリア大陸から4000キロ沖に位置するハード島とマクドナルド諸島が含まれていたことが、オーストラリア当局を驚かせた。いずれの島も西部パースから7日間の船旅でしかたどり着くことができず、ほぼ10年間、人が訪れていない。

ドン・ファレル豪貿易相は、豪公共放送ABCに対し、この関税は「明らかに間違い」で、「性急な手続き」の結果なのだろうと話した。

しかしCBSのインタビューでこの島々について尋ねられたラトニック氏は、「もし(関税対象)リストに取りこぼしがあったりすれば、裁定取引(サヤ抜き)でもうけようとする国々は、リストから漏れた国々を通じてアメリカに入ろうとするだろう」、「トランプ大統領はそれを承知していて、うんざりしている。なので、それをただしていく」のだと述べた。

トランプ氏の新しい関税を受け、世界の市場が混乱に陥っている。アメリカでは4日、主要な株価指数がすべて5%以上落ち込み、2020年以降で最悪の1週間となった。こうした状況でラトニック氏をはじめとするアメリカ政府関係者が、関税を擁護するためさまざまなインタビューに応じている。

製品をある港から別の港へ輸送する「積み替え」は、グローバル貿易にでは一般的なプロセスだ。しかし、アメリカのNPOピュー慈善信託は、この方法によって「悪意の当事者が、輸送時のデータを隠蔽(いんぺい)または操作できる」と述べている。

ピュー慈善信託の推定では、毎年数億ドル相当のマグロや類似の魚の種類が、太平洋西部や中部で積み替えられ、違法に取引されているという。

ハード島とマクドナルド島からアメリカ輸入については、明確な状況を把握することが難しい。

世界銀行のデータによると、この島々は過去数年間にわたり、アメリカに少量の商品を輸出してきた。2022年にピークに達し、アメリカはこの地域から140万ドル(約2億円)相当の製品を輸入したと記録されている。そのほとんどは「機械および電気製品」だった。

トランプ氏の関税リストには、軍関係者のみが居住し、訪問には許可が必要な英領インド洋地域(BIOT)も含まれていた。世界銀行のデータによると、この地域の2022年の対米輸出額は41万4350ドルだった。

(英語記事 US defends tariffs on remote island of penguins and seals

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx20rjywrpgo


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