2025年4月22日(火)

BBC News

2025年4月9日

米ホワイトハウスで記者会見を開くキャロライン・レヴィット報道官

アメリカのトランプ政権が大統領関連の取材の場からAP通信の記者を締め出している問題で、首都ワシントンの連邦地方裁判所は8日、AP通信の訴えを認め、取材へのアクセスを回復するよう政権に命じた。「合衆国憲法修正第1条に反する」と判断を示した。政権側に不服申し立ての機会を与えるため、仮差し止め命令の効力が生じるのは13日になるという。

ドナルド・トランプ大統領は1月の就任直後、政府文書でメキシコ湾の名称を「アメリカ湾」に変更することを命じた。これについてAP通信が、記事の表記などを定めた「スタイルブック」で名称を変更しないと発表したところ、大統領記者会見などでの取材を禁じられた。

この措置により、AP通信は現在、ホワイトハウスや大統領専用機エアフォースワンでの記者会見に参加できなくなっている。

コロンビア特別行政区連邦地方裁判所のトレヴァー・マクファデン判事は8日、政権がAP通信の記者に課した制限は、言論の自由を保障する「合衆国憲法修正第1条に反する」ものだと述べた。同判事は、トランプ氏が1期目に任命した。

マクファデン判事は、政権側に不服申し立ての機会を与えるため、13日まで仮差し止めを一時停止するとした。

「憲法修正第1条に基づき、政府が一部のジャーナリストに門戸を開放する場合、それが大統領執務室であれ、(ホワイトハウスで重要な発表が行われる)イーストルームであれ、そのほかの場所であれ、ほかのジャーナリストに対し、その意見を理由に門戸を閉ざすことはできないと、裁判所は判断した」と、マクファデン氏は述べた。「これが憲法が求める最低限の要求だ」。

AP通信は、政府による取材禁止措置は、言論と報道の自由に関する憲法修正第1条に違反していると主張していた。

マクファデン判事は2月、AP通信側からの取材禁止措置の取り消し請求を棄却していた。

「政府の報復なく」自由に発言する権利

8日の仮差し止め命令を受け、AP通信は「裁判所の判断に感謝している」と、同社の広報担当ローレン・イーストン氏は述べた。

「この判断は、政府の報復を受けることなく自由に発言するという、報道機関と市民の基本的権利を確認するものだ。これは合衆国憲法で全てのアメリカ人に保障された自由だ」と、イーストン氏は声明で述べた。

AP通信に対する取材制限を批判していた複数の組織も、今回の判断を歓迎した。

「これは、『プール』(米大統領を取材する記者団)からのAP通信記者の排除は報復的で、意見に対する処分で違憲だと適切に表現した、慎重かつ理路整然とした見解だ」と、米コロンビア大学ナイト憲法修正第1条研究所のジャミール・ジャファー所長は述べた。

AP通信の訴訟では、ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官、スージー・ワイルズ首席補佐官、テイラー・ブドウィッチ副首席補佐官の3人が名指しされている。

トランプ政権は、AP通信には大統領取材のための「特別なアクセス」を得る資格がないと主張している。

(英語記事 US court orders White House to restore access for AP journalists

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cy5rryzw4k2o


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