
ドナルド・トランプ米大統領は10日、自らの「関税戦争」で不確実な情勢が続く中、株式市場が再び下落したことを受けて、「常に移行上の問題」と「困難」があると認めた。テレビ放映された閣議で発言した。ホワイトハウスはこの数時間前、中国に対する関税が一部の製品で145%に達すると発表した。
中国製品への最高税率145%は、合成オピオイドのフェンタニルを製造する企業に課されている既存の20%を足し合わせたもの。
トランプ大統領は、中国との取引をなお望んでいるとし、「両国にとって非常に良い結果をもたらす何かを最終的にまとめることができると思う。楽しみにしている」と述べた。
トランプ氏は9日、中国を除くすべての国に対する「相互関税」を90日間、基本税率の10%にとどめると発表。一方、中国に対しては関税を125%に引き上げた。
中国も譲歩の姿勢を見せず、アメリカ製品に対する報復関税を84%に引き上げている。
中国はさらに、国内でのアメリカ映画の上映本数を減らすと発表。関税紛争がハリウッド映画に対する観客の関心を低下させたと主張した。中国ではすでに、アメリカ映画の公開が年間34本に制限されており、国産映画の人気が高まる中、ハリウッドの重要性は低下しているという。
こうした状況を受け、10日の株式市場も、引き続き不安定な展開となった。
米市場は早い段階では、主要株価指数が回復をみせた。しかし取引終了時には、アメリカの主要500社のS&P500種は3.6%、ダウ・ジョーンズ工業株平均は2.5%、ハイテク株比率が高いナスダックは4.31%、それぞれ下落した。
映画配給会社ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの株価は14%下がり、米アマゾンとアップルも共に7%落ち込んだ。
「多くの国が交渉に来ている」と商務長官
閣議の席でトランプ氏は、「常に移行上の困難がある」と述べた一方で、「市場にとっては、史上最大の日だった」と付け加えた。
また、投資家らはアメリカの状況に満足しており、「世界が我々を公平に扱うようにしようとしている」、「誰もが関税を減らすために取引をしたがっている」と主張した。
閣議でのトランプ氏の発言を受け、ハワード・ラトニック商務長官は、多くの国が話し合いに来ており、トランプ氏の政策がなければ「決して出さなかった提案」を持ってきていると述べた。
「我々は今、当然の尊敬を得ている」と、ラトニック氏は付け加えた。「歴史的な取引が次々と見られると思う」。
トランプ氏は、「(中国と)取引をまとめたいと思っている」と述べ、「習主席を非常に尊敬している」と付け加えた。また、両国にとって「非常に良い結果をもたらす何かを最終的にまとめることができるだろう」とした。
一方で、中国が長い間「アメリカを利用し」、「誰よりもアメリカを食い物にしてきた」との主張を繰り返した。
こうしたなか、欧州連合(EU)は、4月15日から予定していた対米対抗措置を、90日間停止すると発表した。
ハンガリーを除くすべての加盟国は8日、アメリカがEUに20%の関税を課した場合、報復関税を実行することに賛成していた。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は声明で、EUは「交渉に可能性を求めたい」と述べた。
(英語記事 Trump recognises tariff 'transition problems' as US markets fall again)